女性だけのクラシックラリー、Rallye des Princesses 2023がスタート

Tomonari SAKURAI

女性のドライバーと、コドライバーだけで行われるラリー・デ・プランセス。6月の第一週日曜の3日にパリの中心部。高級ブティックが並ぶヴァンドーム広場を出発。5日間で1600キロを走破する。そのルートはフランスの美しい街や村を駆け抜ける。今年はパリを出発するとやや東寄りに南下。ブルゴーニュ地方を抜けてアルプをの山岳ステージへ。そこを抜けてゴールのニースへ向かう。もちろん本格的なラリーでレッキ帳をナビが読み上げその通りにドライバーが愛車を操るのだ。道交法に則ったものだが、道に迷ったりするとタイムロスが生まれる。各チェックポイントを正確に通過してゴールに向かうのだ。

このラリーはパリダカールにドライバーとして参加し、その後もコース選定やルールの改定などに尽力したパトリック・ザニロニとその妻であるヴィヴィアンヌによってスタートしてから20年以上の歴史を持つ。現在ではル・マン クラシックを主宰するピーターオートに委ねて運営されている。メインスポンサーは変わらず、リシャール・ミルだ。

今回は、そのスタートにお邪魔した。澄み切った青空。早朝のパリ。朝8時半からスタートに向けて徐々にその準備が始まり緊張が高まってくる...かと思えば、そこは女性の参加者達らしく、まるで遠足に出かける子どものようにはしゃいでいる。毎年参加する強者も多く1年ぶりの再会で遠足気分は高まる。一方、車の方に目をやれば、そのご主人やパートナー達が車の調子を見ていて、こちらの方が緊張している様子で慌ただしい。スタートに向けて一点の曇りもないように磨き上げている。

そこにやってくる女性ドライバー達は皆、美しく着飾っていて、広場に着くと一斉にカメラが向く。慣れたモノでポーズをとってモデルになる。周りに挨拶を済ませ、自分の愛車にたどり着いたところで彼女たちの表情が一瞬にして変わる。コース図を眺め、ラリー用のコンピューターなどをセッティング。そして、5日分の荷物を積み込んでいく。

そんな風景を撮影しているとあっという間にスタートになる。運営をピーターオートに任せたヴィヴィアンヌはドライバーとして参加。今までは人前では笑顔を見せつつ、滞りなくコトが進んでいるか厳しい顔で式を取っていた。今日は違う。リラックスして楽しんでいるのがわかる。これまでならゴールして最後のパーティで初めてうかべたあの笑顔が、スタートの時点から顔に浮かんでいるのだ。

スタートではフランスはこの日は母の日ということで、多くの参加者が母親でもあることからラリー・デ・プランセスのイメージカラーのピンクの薔薇が贈られた。

参加車はポルシェが相変わらず人気のうようだ。MINIの台数が増えてきた。フェラーリ・250GT SWBやディノ、365GTBなど。日本車はホンダS600が唯一参加。今回のスポンサーのひとつBMWがオフィシャル用に30台を参加させているがなんとラリーにBMWの最初の車両となったDA1を参加させたのだ。きっとサポートも付いていくのだろうから心配はいらないのだが最後まで走りきれるだろうか?特に山岳コースは上りきれるのか下りのブレーキも心配だ。

ということで、スタートの彼女たちの微笑みを写真でじっくり見ていただきたい。

早朝のヴァンドーム広場。高級ブティックの他司法省があったり、ホテルリッツもここにある。

自分の車に着くと表情が変わってスタート前の準備に入る。

コース図の確認、斜視されたコンピューターそしてスマホで準備。

ビートルもMINIと同様に毎回台数を増やしている。こちらは1973年のビートル。そういえば2CVの参加はない。

ドライバーとナビはコスチュームをそろえている。1972年ポルシェカレラ。

今までオーガナイザーの方にいたヴィヴィアンヌ(右)はドライバーとして参加。

ヴィヴィアンヌは1987年のポルシェ911。

出発前に家族で記念撮影。ベルギーからの参加車だ。1973年ポルシェ911。

いつもスタートのフラッグを振っていたヴィヴィアンヌは振られる方に。スタートだ。

フェラーリ・ディノ246 GTSのスタート。

ドライバーは余裕で笑顔だがナビ派スタート前に真剣な表情。

こちらは慣れたもの。カメラを向ければこの余裕。1972年ランチア・フルビア・ザガート。

参加していたミニで一番年代物のイノチェント・ミニ・クーパー1973年。

英国車の割合も多い。トライアンフTR6 1974年。

スタートは皆笑顔!ポルシェ911 2.7L RS 1973年。

アルファロメオ2000GTV 1975年。

出発間際に荷物が入りきらない!出したり入れたりを繰り返している。ポルシェ911T タルガ 2.2L 1971年。

ジャガーEタイプ。スタート前の最終チェック。ジャガー E タイプ クーペ4.2 1970年。

フェラーリ308 GTB クアトロヴァルヴォーレ 1985年のペアはインカムを付けて本格的。

イギリスからの参加。もちろん右ハンドル。ポルシェ911 SCタルガ 1978年。

オースチン・ミニ・クーパー1983年。母の日ということでスタート時にピンクの薔薇のプレゼント。

スイスから参加。

フェラーリ250GT Lusso 1964年。

アメリカから、ポルシェ356 1964年。

この日一番輝いていた二人。

メルセデス・ベンツ280SL1970年で参加のお二人はコンゴとスェーデンから。

スイスからのお二人やっぱりコースが気になる。ランチア フルビア クーペ 1.6HF 2E 1971年。

こちらは番犬。

フェラーリ330 GTC 1966年のスタート。

ホテルリッツのお客も何事の騒ぎかとテラスに現れる。

リトラクタブルライトがくるっと前後を軸にして出てくるオペルGT。

レース仕様に仕上がった1961年911T。アクリルのウィンドウの小窓から。

ジャガーEタイプも動き出す。

子供達にスタート直前に花を渡される。ポルシェ 911T タルガ2.2L 1971年。

常連でも唯一の日本車ホンダS800 1968年のスタート。

1929年。BMW発の量産自動車となるBMW DA1。

ドイツから参加のBocar XP-5はエンジンがかからず。ほとんどの車両がスタートしてしまったパドックが重い空気に包まれる。



写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

Tomonari SAKURAI

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