女性のドライバーと、コドライバーだけで行われるラリー・デ・プランセス。6月の第一週日曜の3日にパリの中心部。高級ブティックが並ぶヴァンドーム広場を出発。5日間で1600キロを走破する。そのルートはフランスの美しい街や村を駆け抜ける。今年はパリを出発するとやや東寄りに南下。ブルゴーニュ地方を抜けてアルプをの山岳ステージへ。そこを抜けてゴールのニースへ向かう。もちろん本格的なラリーでレッキ帳をナビが読み上げその通りにドライバーが愛車を操るのだ。道交法に則ったものだが、道に迷ったりするとタイムロスが生まれる。各チェックポイントを正確に通過してゴールに向かうのだ。
このラリーはパリダカールにドライバーとして参加し、その後もコース選定やルールの改定などに尽力したパトリック・ザニロニとその妻であるヴィヴィアンヌによってスタートしてから20年以上の歴史を持つ。現在ではル・マン クラシックを主宰するピーターオートに委ねて運営されている。メインスポンサーは変わらず、リシャール・ミルだ。
今回は、そのスタートにお邪魔した。澄み切った青空。早朝のパリ。朝8時半からスタートに向けて徐々にその準備が始まり緊張が高まってくる...かと思えば、そこは女性の参加者達らしく、まるで遠足に出かける子どものようにはしゃいでいる。毎年参加する強者も多く1年ぶりの再会で遠足気分は高まる。一方、車の方に目をやれば、そのご主人やパートナー達が車の調子を見ていて、こちらの方が緊張している様子で慌ただしい。スタートに向けて一点の曇りもないように磨き上げている。
そこにやってくる女性ドライバー達は皆、美しく着飾っていて、広場に着くと一斉にカメラが向く。慣れたモノでポーズをとってモデルになる。周りに挨拶を済ませ、自分の愛車にたどり着いたところで彼女たちの表情が一瞬にして変わる。コース図を眺め、ラリー用のコンピューターなどをセッティング。そして、5日分の荷物を積み込んでいく。
そんな風景を撮影しているとあっという間にスタートになる。運営をピーターオートに任せたヴィヴィアンヌはドライバーとして参加。今までは人前では笑顔を見せつつ、滞りなくコトが進んでいるか厳しい顔で式を取っていた。今日は違う。リラックスして楽しんでいるのがわかる。これまでならゴールして最後のパーティで初めてうかべたあの笑顔が、スタートの時点から顔に浮かんでいるのだ。
スタートではフランスはこの日は母の日ということで、多くの参加者が母親でもあることからラリー・デ・プランセスのイメージカラーのピンクの薔薇が贈られた。
参加車はポルシェが相変わらず人気のうようだ。MINIの台数が増えてきた。フェラーリ・250GT SWBやディノ、365GTBなど。日本車はホンダS600が唯一参加。今回のスポンサーのひとつBMWがオフィシャル用に30台を参加させているがなんとラリーにBMWの最初の車両となったDA1を参加させたのだ。きっとサポートも付いていくのだろうから心配はいらないのだが最後まで走りきれるだろうか?特に山岳コースは上りきれるのか下りのブレーキも心配だ。
ということで、スタートの彼女たちの微笑みを写真でじっくり見ていただきたい。
写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI
Tomonari SAKURAI
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