写真表現技法の奥深さに触れる|世界最大級の写真の祭典、Paris Photo 2023

ニューヨークのギャラリーは森山大道の作品を展示(Photography: Tomonari SAKURAI)

世界最大級の写真の祭典パリフォトが今年も開催された(2023年11月9日~12日)。毎年開催され今年で26回目を迎える。通常はパリ・シャンゼリゼとセーヌ川に挟まれたグランパレで行われるが、現在はパリオリンピックに向けて大改修中のため、エッフェル塔の後方に設置されたグラン パレ エフェメールにて開催された。

メインパートナーであるBMWの送迎用の車が並ぶグラン パレ エフェメールのエントランス。

出店するギャラリーは20カ国以上、200を超える。まさに世界最大級。世界中からアートや写真の収集家をはじめ、ギャラリーや出版社などが来場する。今年も大盛況で、2日目の午後に出かけたが中は思うように歩くことができないほどだった。聞こえてくる言葉はフランス語だけでなく、英語に混ざって色々な言語が聞こえてきた。

ここでは写真の過去と現在、そして未来を見ることができる。現在もっとも注目される写真家の作品は当然のこと、19世紀からのアンティーク写真を専門に扱うギャラリーも多い。そして、これから写真家を目指す学生達のコーナーなどもあるのだ。

メインパートナーであるBMWは、1975年から登場したアートカーからも見られるようにアート、クリエイターの支援を行っている。20年にわたるパリフォトのパートナーとしてBMW ART MAKERでの今年の優勝者の作品を展示している。今年はエヴァ・ニールセンとマリアンヌ・テリエンの作品を展示した。またVIPの送迎をBMWの最新モデルで行うサービスは今年も健在だ。

BMW ART MAKERの受賞者の作品。

世界からもっとも注目される日本の写真家森山大道はこのパリフォトで最新の写真集を発表。「The TOKYO TOILET」だ。3年かけて東京のトイレを撮った作品である。会場ではその特別展示も人を集めた。

森山大道がこの日発表したTHE TOKYO TOILETのブース。

同じくTOKYO TOILET から。

今年のパリフォトを訪れてみて感じたこと。それは写真の表現方法として色々な技法による表現が使われていることだ。現在では使われなくなったいわゆる古典技法を使った、現代作家による表現や、スティーグリッツが芸術に高めた写真製版などが見られた。普段日常でネット、SNSで見られるようなものだけでなく、写真の技法は実に多種多様で、写真の表現の如何に自由で奥が深いのかがひしひしと伝える。そんな世界中の作品を一堂に見ることができるし、気に入れば購入することもできるのだ。

サイアノタイプなどの技法を使った現代の作家による作品が目を引く。

スマホから撮影したデジタルフォトをガラスにシルバープリント。さらにスマホサイズにしている。

繊細なモノクロ写真。顔料インクでインクジェットで和紙にプリントされている。

青写真、サイアノタイプによる作品を丸いフレームに収めた組み写真。

写真の中央を丸めて、磨りガラスのフレームに収め立体感を出した作品。



こんな世界的イベントの話の後でおこがましいが、僕の作品が11月15日から新宿北村写真機店で行われる第3回 フォクトレンダー展 PHOTO EXHIBITION VOL.3 “Masterpiece”に参加。11月18日からは神戸三宮のギャラリーConviviにて摺師としてフランスの人間国宝のファニーブーシェと共に作り上げた個展「Comté-コンテ」が開催されるので、ご興味があれば足を運んでいただければ幸いです。

フォクトレンダー展
https://www.kitamuracamera.jp/ja/event/photoexhibition_2023_1115

コンテ展
https://www.instagram.com/galerie_convivi/


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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