蒐集するなら今!フランスの正月菓子ガレット・デ・ロワのおまけ「フェーブ」

ブガッティのセット(表) マニアックな選択による10台のブガッティ。内訳は、T32タンク、T40クーペ、T40カブリオレ、T41ロワイヤル(パークウォードボディ)、T46、T49、T51グランプリ、T53、T57ヴァントウ、そしてT59というセット。ブガッティ好きにはどれも涙ものながら、特にT32タンクとT53が選ばれているのはうれしい。



今やフェーブは蒐集対象になっている。私は、そもそもオーボンヴュータンのオーソドックスなガレット・デ・ロワしか知らなかったので、フェーブとは質実剛健な、パイの中に焼込めても大丈夫な小さな陶器、王様を選ぶための単なる小道具にすぎない、と考えていた。ガレット・デ・ロワについてくる紙製の簡易な王冠と共に、諸王の菓子に付随する必需品のひとつ。換言すれば、崎陽軒のシュウマイとひょうちゃんの醤油入れのような関係。ひょうちゃんもそうだが、現実は大きく変化していた。今やフェーブは純粋にコレクションの対象であり、パイの中に入れて焼かれることはなく、フェーブ単独で取引されるまでになっている。

コレクションとして価値が高いのは、大手の菓子屋によるフェーブ。パリにあるフォション、ルノートル、ラデュレ、ラ・メゾン・デュ・ショコラ、ジャン=ポール・エヴァンといった店のフェーブは年々華やかさを増しつつある。とらやのパリ店でも、ついに2008 年から独自のフェーブをつくりはじめ、今やコレクターズアイテムになっている。

もうすぐ新年

現在、クルマのカタチをしたフェーブは1000種類近くあるらしい。それでもまだまだ黎明期。少なくとも日本にコレクターは少なく、過当競争も起きていない。比較的、蒐集に適した状況が続いている。

今回は、クルマのフェーブのなかから、わたしが気に入っているものを選んでみた。なかでも、特に感心したのはブガッティだけをアソートしたセット。一応フランス車のカテゴリーに入るブガッティなのだが、そのブガッティでフェーブをつくるなら、グランプリモデルからT35やT37、ブガッティの大御所コンウェイ氏に敬意を表してT43、もちろんT41ロワイヤルも外せない一台で、選ぶならクーペナポレオンかエズデール。ブレシアやT 50、T 55 のスパイダーやT57アトランティック、そしてT101とT251あたりがあれば、ブガッティの選択として順当なところではないかと思う。ところが、さすがはフランス、ブガッティのフェーブセットに選ばれた車種は全く予想に反したものだった。詳しくは写真と解説にて。

尚、毎年10月ごろから翌年仕様のフェーブの販売が始まる。蒐集対象としてのフェーブは独自の市場を形成していて、フランスにはフェーブを主体に取り扱っている店も存在する。

さて、もうしばらくすると新年。おせちで和を満喫した後に、かわいらしいフェーブのついてくるガレット・デ・ロワはいかがですか。

今回の肴

ブガッティのセット(裏)
フェーブを裏返すとそれぞれの車名が書かれている。大きさはどれも3cm前後。

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