モーガン スリーホイラー|マニアを熱狂させる現代版"車のシーラカンス"

Photography: Mark Dixon



モーガンとスリーホイラー


スリーホイールサイクルカーの誕生
自動車はまず富裕層のものとして始まったが、10年も経たずして、HFSモーガンのような先駆者たちが庶民のためのモデルを手掛けた。二輪車のエンジンを動力とする簡素で軽量なサイクルカーというジャンルがそれだ。これがモーガンのスリーホイラーの起源で、最初の車は1910年ラナバウトだった。


モータースポーツでの成功
サイクルカーによるレースや過酷なトライアルの人気は高まり、1914年の第一次大戦勃発までに、モーガンは速度記録を10個、主要なトライアルで24個の金メダルを獲得、レース優勝も数多く達成した。1930年代にはグウェンダ・スチュワートがスリーホイラーで117mph(約188.3km/h)を達成した。


シンプルゆえの成功
モーガンのスリーホイラーは、デザイン・設計とも、すべてのサイクルカーで最も優れていたといわれている。シンプルなシャシーには様々なエンジンが搭載可能だった。最初の数年間はサイドバルブのJAP製Vツインが標準であった。トランスミッションは前進2段のチェーンドライブで、後退ギアの備えはなかった。


成長
ふたつの世界大戦の間に、モーガンは3段トランスミッション(後退付もあり)に移行し、貨物用バン仕様のオプションを加え、フォードの4気筒エンジンを採用し、2座と4座仕様があった。1935年にモーガンは最初の四輪車を導入したが、スリーホイラーの製造は1953年まで続けた。


新旧スリーホイラーについて情報交換する左からチャールズ・モーガン、デザイナーのマシュー・ハンフリーズ、オクタンUK編集者デイヴィッド・リリーホワイト

1931年モーガン・スーパースポーツエアロ
エンジン:JAP製KTOR型 981cccc、50° V型2気筒、OHV、AMACキャブレター×2基
最高出力:30bhp/4000rpm 最大トルク:不明
変速機:モーガン製前進2段MT(後退なし)、チェーン式後輪駆動
ステアリング:リダクションギアボックス
サスペンション(前):フロント:モーガン・スライディングピラー、油圧式ダンパー
サスペンション(後):スウィングアーム、リーフスプリング、フリクションダンパー
ブレーキ:ドラム 車重:350kgk
最高速度:80mph  0-60mph:不明


2011年モーガン・スリーホイラー
エンジン:S&S製“X-Wedge”型 1982cc、56° V型2気筒、OHV、シングルスロットルボディ型燃料噴射
最高出力:115bhp/3000rpm最大トルク:140lb-ft(19.4kg-m)/3000rpm
変速機:前進5段MT+後退(マツダMX-5用)、ベルト式後輪駆動
ステアリング:ラック・ピニオン(クワイフ製)
サスペンション(前):ダブルウィッシュボーン、コイルダンパー・ユニット
サスペンション(後):トレーリングアーム、コイルダンパー・ユニット
ブレーキ:ディスク 車重:495kg
最高速度:最高速度:125mph  0-60mph:4.5秒
燃費:35mpg(12.4km/ℓ)

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編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: David Lillywhite

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