ラゴンダが1億2500万円なら高くない!セレブを釘づけにする大人の強烈なサルーンが、いま東京に!

中東の顧客からの強い要望を受け、アストンマーティンは「ラゴンダ」ブランドを復活させ、タラフという新型4シーターを投入した。そして今、「ラゴンダ」は、そのクオリティを世界に向けて発信する。



全長約5.5mの肢体をもつ優雅なサルーンは、実はいま東京青山のアストンマーティン青山ハウスに潜んでいる。単なる車両の展示ではない。ある日本人オーナーがUKゲイドンのアストンマーティン本社工場で眺めた車を、実際に購入したのだ。その金額は明かされていないが、少なくとも1億2500万円ほどと推察される。まだ日本での車検は取得せずに、完全な新車の美しい状態のままで保管されているのだ。
この車のフロントセンターに輝くバッジは「LAGONDA」。その歴史はアストンマーティンよりも長く、創業は1906年。1935年にはル・マン24時間レースで勝利を収めたり、その直後W.O.ベントレーがラゴンダのレース部門に参加するなど、高級車メーカーでありながらスポーツカー製造に注力した数奇なブランド。アストンマーティンから発信する新たなブランドのフラッグシップカーであるタラフ。それがいち早く東京にひっそりと置かれている事実に驚愕する。以下オクタン日本版別冊「VANTAGE」で紹介しているラゴンダ・タラフのストーリーである。





後席のレッグルーム自体は広いのだが、リアアクスルに搭載されたトランスミッションによって足下のスペースは若干、狭く感じるかもしれない。インテリアカラーはオーロラブルーとアイボリーの組み合わせ。外装色はウルトラマリンブラックだ。


ラゴンダに惚れた男がラゴンダの後継車を生み出した冬の雨が降り注ぐコヴェントリーの夜は、70万ポンドもする高級車が放つ優雅さとはかけ離れている。身体の芯までひんやりさせる冷たい風が、落ち葉やゴミを散らす。時折、近所のパブで一杯ひっかけた賑やかな若者たちが通り過ぎる。そのうちの一人が「これは新しいラゴンダじゃないですか?」と質問を投げかけてきたことに、筆者はたいそう驚いた。イギリスにはまだ二台しか存在しておらず、よほどの車好きの間でもまだそう知れ渡っている車ではない。よくよく聞いてみればこの学生、コヴェントリー大学で自動車デザインを学んでいるそうだ。




タラフが採用する直線基調のテールランプはウィリアム・タウンズが手掛けた直線基調のラゴンダから受け継がれた。‘tail-lights recall the thin horizontal strips of the original William Towns Lagonda’



"まさか飲んだ後にこんな凄い車を見られるなんて"といたく感激した様子だったが、こちらとしてはラゴンダに気付いた彼を褒めてやりたいくらいだ。アストンマーティンのデザイン部門を率いる、マレック・ライヒマンもかつて学生時代に「ラゴンダを見かけた衝撃が忘れられない」と語っていた。この学生もいずれ、自動車デザインの世界で活躍する日が訪れるかもしれない。このサルーンの車名「タラフ」とは アラビア語で"ラグジュアリィ" を意味し、1970年代のラゴンダにインスパイアされて製作されたもの。当初、100台限定と漏れ伝わってきたが、どうやら200台が限定生産されるそうだ。

ウィリアム・タウンズが手掛けた "オリジナル" ラゴンダの内装には、まるで宇宙船にでも乗ったかのような衝撃を受けたものだ。メーターパネルにはブラウン管って…。その点、タラフの内装は最近のアストンマーティンと何ら変わらない。高級感 があるし、落ち着くし、何の文句もないのだが、ラゴンダと聞いて想像する斬新さには欠けている。これはライヒマンも認めるところで、2016 年に登場するDB11 に注目して欲しいと言われた。つまり、DB11 のインテリアは我々を驚かせると示唆しているようだ。


マレック・ライヒマンの最新作はフューチャリズムを避けながらも先代ラゴンダのデザイン言語を用いながらよりエレガントで、より美しい。
‘Marek Reichman’s creation eschews outrageous futurism in favour of a more elegant and,yes, more beautiful shape’

タラフの外装は、タウンズが手掛けたものの現代版と呼ぶに ふさわしい。ライヒマンがラゴンダ好きというのも強く影響しているだろう。ただ、タラフを様々な角度から見るにつれ、"ランチアがやりそうなライン" だと筆者は思ってしまった。そのことをライヒマンに伝えても、嫌な顔はされなかった。「ロングノーズ、均衡のとれたリアというプロポーションはイタリア的ですし、ドイツ勢とは間違いなく一線を画しています」 とライヒマン。たしかにBMWはショートノーズが最近のデザイン言語となっている。ライヒマンの凄いところはオリジナルのデザインモチーフを流用しながらも、タラフにレトロな雰囲気を一切持ち込まなかったことだ。ヘッドライトは若干、ボディ両脇にかけて角度がついていながらも、オリジナルのシャープな目つき" は健在。直線基調のテールランプも、オリジナルのデザインが尊重されていることが明白だ。

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国)写真:尾形和美 Transcreation:Takashi KOGA (carkingdom) Words:Mark Dixon Photography:Matthew Howell, Kazumi OGATA

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