王冠マークがついた高級クーペのボルボとは?

ヘンリー・フォードがモデルTについて「黒であれば何色でもある」と言った話はよく知られている。しかし、ボルボが1978年に262C クーペを発売したときも、ミスティック・シル バー・メタリックの1色だけだったのを覚えている人はいるだろうか。  

ボルボが柄にもなく高級クーペに進出したの は、ヘンリー・フォードII世のせいだという者もいる。ボルボの本拠地を訪問した際に、リン カーン・コンチネンタルMk.Ⅳの車列を引き連 れていったからだ。それを見たスウェーデンの デザイナーは、ああいう面白みのない車なら自 分たちにも造れるぞと思ったのかもしれない。  

それに成功したかどうかについては議論の余 地がある。262Cには不思議に人を惹きつけるところがあるからだ。ベースとなったサルーン よりルーフが10cm低くなり、フロントウィンドウの角度も大きい。まっすぐに断ち切られたドアや、王冠のマークが付いたマットブラックの樹脂製ルーフが全体を引き締め、粋でありながら堂々とした風格を備えている。

ロールス・ ロイス・カマルグは買えないけれど、安全性にはこだわりたいという人にぴったりだった。当時ボルボには製造数の少ないモデルに割り当て施設がなかったため、262Cはトリノのベルトーネが手作業で製作した。6622台の大半がアメリカに輸出されている。  

写真の車は1978年製の第1シリーズで、元々ベルギーで販売された車である。2006年まで国内にあったが、いったん隣国オランダに渡り、昨年ベルギーに戻ってきた。平地の多いベルギーやオランダは、この車の控えめなパフォーマンスに適 しているのだ。1300kgの262Cに対し、V6エンジンの出力は127hpで、ギアボックスはオプションのボルグワーナー製3速オートマチックだ。  

ベルギーのショップ店、カー・ケイヴでの販売価格は1万6500ユーロ。 262Cは希少であり、走行距離10万8000km も真正と見られている。未レストアでコンディションもよく、すぐに使用できる状態だから、 妥当な金額といえるだろう。しかもボルボだから品質は間違いない。ただし、通常のボルボと違って犬を何匹も乗せるスペースはないのでご 注意を。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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