成長を望まない会社が次に目指すものとは?自動運転の後に続くチャレンジ!

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2人乗りの乗用車 アトムがイギリスのモーターカンパニーであるアリエルの中心的存在であり続けた間、1800台が生産され、ニュージーランドやロシアのような国にも広まった。同時に、アメリカでも年間60台がライセンス生産された。これは経営に行き詰まった会社の話ではない。会社の他の人たち(家族でさえも)は、懐かしそうに振り返るが、サイモン・ソーンダースは過去のことなど気にせず、現在を生き抜き、次のことだけに焦点を当てている。

2005年から、30人のスタッフが所有している場所の6つの建物の中に分かれ、アトムとノマドを年間100台を作り上げている。

公道で走ることのできる2.4Lのノマド(写真)は、10年以上前に一人のアメリカ人オフローダーによる"ロングトラベルサスペンションとスクリーン付きのアトムを"というリクエストにより、長い開発期間を経て2014年に発表された。その成功は予想以上で、新しいファンも増えたが、限られた会社の資源にさらに負担をかけることになった。ただ最初の頃の納期は18ヶ月だったが、現在は14ヶ月程度となった。

それぞれの車両は組み立てるのには150~200時間を要し、最高記録は71時間、V8の車両には750時間かかった。他には1930年製のアリエル・スクエアフォーにインスパイアされ、2014年のグッドウッドフェスティバルオブスピードで発表されたバイク、エースがある。フレームとホンダの1234ccV4エンジン、スイングアームは共通だが、他のパーツは選べる。

アトム4のウェイティングリストは150人にもなろうとしている。今は運用を変え、大きく成長する時期なのだろうか?そうではない。アリエルは新しい施設を探してはいるが、サイモン・ソーンダース、息子のヘンリーそれにトム・シーベルトはその成長を慎重にコントロールしようと決めている。

トム・シーベルトは「私たちは、極端な浮き沈みではなく、コントロールされた成長と決まった生産数を目標としています。それに、人と人とのつながりを大切にしたいのです。5台目のアトムに乗っている人もいます。私たちが把握している50人程度の顧客たちは、私たちが作ったものであれば何でも買ってくれるでしょう。私たちのやり方は、あまり効率が良いものではありません。他の人たちは効率を上げるために生産ラインを持っています。でも、私たちは今のやり方が好きで、私たちの顧客もこのやり方が大好きなんです。この方法は決して変えません」

ソーンダースはさらにこう加える。「私たちにとって最適な規模は、より大きいものですが、とてつもなく大きなものではありません。規模の経済性が得られない中間サイズのメーカーではなく、小規模のメーカーか大規模のメーカーから選ぶわけです。私たちはお金に過度に興味があるわけではありません。そうでなければこのビジネスに私たちはいないでしょう。それに、私たちは全ての車両のオーナーの名前を知っています。この様なレベルの関わり方をやめたいとは決して思いません」

しかし、この先大きなチャレンジが待っている。とてつもなく早いスピードで進み、導入する頃には既に時代遅れになっているテクノロジーに追いつくことだ。そう遠くない将来、2020年から走る予定なのが、ガスタービン電気自動車、1180馬力のスーパーカー、アリエル・ハイパーカーだ。どこでアイディアを得たのだろう?「この技術は世界で取り組まれているから、無視する訳にはいかないんです。電気のアトムを10年ぐらい前に考えていましたが、とても高価で、レーストラックまで行き、一日中運転を楽しんで、そして家に帰りつくなんてことができなかったのです」とソーンダースは言う。

自動運転車についての脅威についてはこうコメント。「歓迎されない世界でも、アトムは運転できる数少ない車の一つになると考えています。例え、自動運転のポッドに載せて、レーストラックまで持って行かなければならないにしても、人々はアトムを運転するでしょう。1900年、馬は労力としてどこにでもいました。そしてあっという間に乗馬がレジャーの一つになりました。そんなことが私たちにも起こりうるんです」

ハイパーカーの次は何だろうか?「運転手付きのリムジンかもしれない。私たちの生産レベルに合った数の少ない車両です。それには、恐らくボディーワークを付ける必要があるでしょう」彼はまだまだ私たちを楽しませてくれそうだ。

octane UK 抄訳:古川浩美 Translation: Hiromi FURUKAWA(Ruote Leggendarie)

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