1952年から同じフェラーリを所有し続ける人物│ファクトリーでエンツォにも

Photography Mark Dixon



ロドルフォは、その車をとても誇りに思っていて、見せたり、毎週近所を運転して回るのが大好きだ。数年前の乗馬での事故のせいで左ひざが弱ってしまったが、そんなことで彼が運転を止めることはない。彼は運転席に乗り込み、アクセルをポンピングしてキーを回す。エンジンがゆっくりと3回転し、そしてパーフェクトに点火し、パイプの一つからオイルの煙が一筋出る。ロドルフォは車の周りを回ってチェックする。

「いつも始動する。問題なんてない(彼はゲン担ぎに植木鉢を触る)。僕がやってきたのは、バルブをチェックして、キャブレターがきれいか確かめ、オイル交換し、不凍液を交換することだけだ。いつも世話をしてやり、空調のきいた場所で保管している」

「1975年に再塗装したが、それ以来何もしていない。ワックスをかけるだけ。この車は一度も衝突したことはないが、塗料がヒビ割れの様だったんだ。あまりにもこの車を誇りに思っていて、そのままにしておくことができなかったんだ。シートは革を掃除し、滑らかにするだけ。クロームメッキをやり直したことがあるかって?フロントグリルはイエスで、バンパーはノー、ヘッドライトはノーで、ホイールはもちろんやり直したよ」

彼は、また別のコンクールを思い出してくすくす笑い出す。「212を見せている男がいたんだ。全てクロームメッキしたやつ!僕は近くに彼が立っていると知らずに『なんてこった、誰がこんなことをやったんだ』って言ったんだ」

まだくすくす笑っている。ロドルフォは車にまた乗って、私道から出るためにハンドルを握っている。

「若い男にとってもこのハンドルは重いんだ。動いている間は大丈夫で、僕でもなんとかなる。止まっているときはまた別の話さ。僕は95歳で、昔ほど体が柔軟ではない、それが現実さ」



ロドルフォは、かれこれ13年住んでいるフロリダの所有地での攻めのドライブに私たちを乗せてくれた。

「これに乗ることがどんなに難しいかってことをいつも忘れてしまうんだ。難しいけど、ハイスピードでは良くなる。エンジンはパーフェクト!とても、とても滑らかなんだよ。3速で時速20マイルいける。どのギアでも2000回転キープしても大丈夫なんだ」

『リリアン(ロドルフォの亡き妻)はこの車が大好きだったけど、運転するのは好きじゃなかった。いつもこれと彼女のメルセデスとを比べてた。僕はいつも、全く別の生き物だから比較することなんてできないよ!と彼女に言っていた。彼女はひどいドライバーだった、と彼は静かに言い加える。

「本当に何度となくこの車を買いたいと言うオフファーがあったけど、売らないよ。ぼくが長年所有してきたんだから。僕が僕の車全てにしたことは、有限責任会社に属させるってことだ。友だちに、僕が死んだら車は彼らの好きにしていいと言ってある」

Left and Below
左と下
ロドルフォ・フンコ・デ・ラ・ヴェガはこの1951年製のフェラーリ212イン
テルをまだ新しい時から所有している。窓のステッカーは古いが、その歴史を
語っている。速度計は、過去にたくさん使われていた。
Above and left
上と左
ロドルフォのフェラーリは、オリジナルの革のシートと内装を保っている。使
い古されているが、60年以上経過してもまだ原型をとどめている。彼は毎週
その車を外に出すが、マゼラーティのボラ程激しい運転はしない(これはまた
別の話である・・・)。

Words David Lillywhite 抄訳:古川浩美 Transration: Hiroml FURUKAWA( Ruote Leggendarie )

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