最高にスーパーカーらしいスーパーカーを駆る!│紫衣の魔法を味わう 後編

Photography: Dean Smith


 
全行程を通じて最も感嘆したのはシャシークォリティの高さであった。タイヤの限界をつかむことが容易く、それゆえコーナーの出口に向かってリアタイヤをスライドさせながら駆け抜けるといった何物にも代え難い楽しみを満喫できる。リアタイヤのグリップが殊の外強くアンダーステアに終始する私のQVではとうていできない芸当だ(よほど大胆に、決死の覚悟で攻め込まなければリアブレイクに持ち込めない)。

サンレオの街に辿りつく。念願叶ってLP400のシートに収まることができたのみならず、素晴らしい道でその走りを存分に楽しむことができた。QVより楽しいカウンタックであることに疑いの余地はない。人と車との一体感があり、挙動は常につかみやすく、小さなブレーキの効きは心配したほど悪くなかった。否、むしろ、より大きなホイールに1インチ大きなディスクをもつQVのファーストタッチより具合が良かったのだ。

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確かにQVにはその獰猛なルックスに見合ったパンチのある455bhpエンジンが積まれており、現代でも未だ速いと思えるパフォーマンスが魅力ではある。けれどもLP400を駆るということはさらに濃密な経験であり、乗り手をまるで飽きさせない。自在に吹け上がるエンジンと完璧にバランスのとれたシャシーが、このうえない操る歓びをドライバーに与えてくれるからだ。
 
いったいボブ・ウォレスはこの背の低いLP400をどのようにして開発したのだろう?実をいうと彼の身長もまた180cmを軽く超えていた。最近出版されたボブの人生を振り返る書籍によると、彼はプロトタイプのシートを取り払い、パッドを入れたアルミニウム板を代わりに置いて開発を続けたらしい。
 
もちろん、私と同じくらい背の高い貴方にそんな大胆な乗り方を勧めたいとは思わない。けれどももし完璧なコンディションのLP400をドライブする機会に恵まれたなら、絶対に逃さないで欲しい。
 
とにかく素晴らしい経験だった。待った甲斐があったというものだ。

編集翻訳:西川 淳 Transcreation: Jun NISHIKAWA Words: Harry Metcalfe 

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