ジェントルマン・ドライバーのためのレース GT3とベントレー

Images: Bentley Motors


 
この初代コンチネンタルGT3の後を引き継ぐ形で2018年にデビューしたのが新型コンチネンタルGT3である。そのベースとなったのは同年に誕生した3代目コンチネンタルGTだが、量産モデルとレーシングカーが同時にデビューするのは極めてまれなこと。これを実現できたのも、クルーに本拠を置くベントレー・モータースポーツとMスポーツがベントレーの量産部門と手を携えて開発を進めた結果だった。
 
新型コンチネンタルGT3は初代にも増してアルミ素材を多用。性能調整で定められたバラストを積む前の状態では1300kgを大きく下回る軽量に仕上げることで、重量バランスの最適化がこれまで以上にしやすくなった。エンジンの排気量とレイアウトは従来と同じ4.0リッターのV8ながら、その内部には大幅な改良の手が入り、ドライサンプ・システムは刷新、吸排気系も全面的に設計し直された。この結果、性能調整が加わっていない状態での最高出力は550psを優に上回るいっぽうで燃費は改善。エンジン・ノイズの音量はこれまでよりも低減されたが、その音色は紛れもないベントレーのものという。
 
驚くべきは、デビュー3戦目で挑んだ2018年ブランパンGTシリーズの第5戦ポールリカール1000kmで早々と2位表彰台を勝ち取ったこと。しかも、レース中のファステストラップをマークしたほか、終盤には一時的にトップを快走するシーンも見られたほど、そのポテンシャルは高い。
 
なお、8月25日に開催された鈴鹿10時間レースにはベントレー・チームMスポーツが2台のコンチネンタルGTを持ち込み、その勇姿を日本国内でも見ることができた。
 
ベントレーはGT3レースだけでなく、アメリカ・コロラド州で行われるパイクスピークという名のヒルクライムにも2018年より挑戦を開始。その初年度はベンテイガでSUVプロダクションモデルの記録に挑戦し、従来のレコードタイムを2分近くも縮める10分49秒9をマークしてその目標を達成した。今年は新型コンチネンタルGTで量産車の最速タイムに挑み、既存のタイムを8秒上回る10分18秒488を叩き出して記録更新に成功している。
 
しかも、昨年のベンテイガも今年のコンチネンタルGTも、規則で義務づけられた安全装備を除けば豪華なインテリアを含めて一般の量産車とまったく変わらない。つまり、ロードカーの優秀性をモータースポーツ界で立証するというベントレーのポリシーは、ここでもまったく揺らいでいないのだ。

文:大谷達也 写真:ベントレーモーターズ  Words: Tatsuya OTANI 

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事