あのフェラーリの名車は「Spider」でなく「Spyder」と表記される理由とは?

RM Sotheby's

不思議なことに、アルファロメオ・デュエットはSpiderなのに、フェラーリ250 GTカリフォルニアはSpyderと表記する。しかもイタリア語のアルファベットにはYが存在しないのだから、いっそう不可解だ。
 
スパイダーは、既に19世紀から、屋根のない軽量な馬車を指す言葉として使われていた。大径の細い車輪の間でキャビンが支えられる様子をクモに見立てたのだろう。Spyderと表記したほうが都合のよい言語もある。例えばオランダ語の場合、Spiderではスピーダーと発音されてしまうからだ。
 
第二次世界大戦前、ムッソリーニ率いるファシスト党が独裁体制を敷いていたイタリアでは、愛国主義に反するとして外来語の使用が避けられた。そこでスパイダーの代わりに、コンヴェルティービレ、アペルタ、トルペード・スポルトなどが使われた。実はtorpedoもイタリア語ではないのだが、響きがそれらしければドゥーチェも文句は言わなかったのだろう。
 
戦後、外に目を向けるようになったイタリアの人々にとって、Yを使ったSpyderは、よりエキゾチックで魅力的に映った。フェラーリがカタログで250 カリフォルニアを常にSpyderと表記したのは、そのためだったのだ。

Words: Richard Heseltine

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