その名も「ブーメラン」!│天才デザイナーが手がけた唯一無二のマセラティ

Bonhams

1971年のトリノ・モーターショーでコンセプトカーとして発表されたマセラティ・ブーメランは、後に「世紀のカーデザイナー」と評価された人、ジョルジェット・ジウジアーロによる冒険的な作品であった。

ジョルジェットの父と祖父は画家という、アーティスト一家に生まれた彼は創造的な才能を受け継いだ。想像力豊かな車のデザインスケッチを描き、FIATのテクニカルディレクターであったダンテ・ジアコーサにその才能を見出された。1955年にはフィアットのデザインスタジオで働き始めた。

創作の自由をさらに追求したジウジアーロは、21歳の時にフィアットを去り、スタイリング部門の責任者としてカロッツェリア・ベルトーネに加わり、アルファロメオ、アストンマーティン、フェラーリ、ジャガー、マセラティにおいて傑作を生み出した。ベルトーネで6年間働いた後、彼はカロッツェリア・ギアに移ったが、2年後に彼自身のデザインスタジオであるイタル スタイリング(後のイタル デザイン)を設立した。

フォルクスワーゲン・ゴルフを手がけて以来、イタル デザインは世界中のメーカーと協力して、何百もの新しい生産モデルとプロトタイプを作成している。今なお、イタル デザインは自動車に限らず、工業デザインの分野における主要なブランドの1つである。



そして、ジウジアーロが創造したマセラティ・ブーメランは、ボーラ・クーペをベースにしている。ブーメランのウェッジシェイプは、VW ゴルフ、フィアット・パンダ、ランチア・デルタ、マセラティ・クアトロポルテ Ⅲ、デロリアン DM-12、ロータス・エスプリでも見られる。ユニークなダッシュボードレイアウトを備えた未来的なインテリアは、乗用車というよりも宇宙船とでもいえよう。



ブーメランは定期的に展示され、ジュネーヴ・サロン、パリ、ロンドン、バルセロナの国際モーターショーに登場し、満場一致の賞賛を受けてきた。バルセロナショーの後スペインに残り、最終的にベニドームに住む人物に販売された。1980年、ドイツ人のマセラティコレクターへ販売された。入念なレストア後、1990年に開催されたパリのバガテル・コンクールに再び登場した。その時、ジョルジェット・ジウジアーロは審査員の1人であり、サインをリアパネルに加えた。それ以来、ブーメランはペブルビーチやカーメルのコンコルソ・イタリアーノなど名だたるコンコース・イベントに招待され、数多くの賞に輝いている。



2002年に次のオーナーへ渡ったが、そのオーナーはブーメランを公道で使用できるようにすることを目的としていた。18カ月にわたる細かな修復が施され、約2万ポンドもの費用がかけられた。2003年の初めに完成し、公道での走行が実現した。2005年に次のオーナーのもとへ渡っている。その後、2015年にオークションに出品され、333万5000ドル(約4億1314万円)で落札されている。

オクタン日本版編集部

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