「ザ・峠マシン」でアルプスを駆け抜ける!アウディがクワトロを投入してから40年

Photography:Stefan Warte


 
軍用オフロード車両とはなにかと思われた方もいるだろう。この車両は、2ストローク・エンジンを搭載していたDKWムンガを祖先に持つ、VW イルティスだった。(MUNGA)はドイツ語でMehrzweck UNiversal Geländewagen mit Allradantrieb(全輪駆動多目的車両)の頭文字をとったものだ。
 
DKWといえばアウトウニオンの一員で1956年から68年かけて生産され、アウディは1932年からアウトウニオン傘下に収まっていた。なお、私たちが今日知るアウディは、メルセデス・ベンツが1958年から筆頭株主だったアウトウニオンの一切の権利や工場をVWに売却した1965年、インゴルシュタットで産声を上げた。当初、VWはインゴルシュタットの工場を活用してビートルの増産を目論んでいた。


 
アウディの歴史はこのくらいで抑えておこう。私がステアリングを握る1982年式のラサグリーンのクワトロとともに、イルティスも持ち込んでいた。テストコースは、トゥルラッハー・ヘーエの雪がほとんどない麓からスタート。頂上に近づくと高度は1800mに達し、路面に積もった雪は厚く永久凍土のような雰囲気すら漂う。スキー場のゲレンデ脇では、凍った湖面では人々がソリで遊んでいる。気温はマイナス10度で風が吹くと顔が凍てつく。幸いにも晴天に恵まれ、日差しがあるうちは温かいような気にさせてくれる。
 
当時のVWやアウディのみならず、ポルシェ924や944でも使われていたのと同じドアハンドル内側のレバーを引くと、"カチャッ" という独特な音ともにドアが開く。ダッシュボードやドア周りは基本的に茶色で統一されており、チェック柄のベロアシートに腰を下ろす。目の前にはアウディの"フォーリングス" がエンボス加工された細い本革巻き4本スポーク、リアウィンドウには「Quattro」とエッチングされた文字が見える。それ以外は基本的にはアウディ80といってもいいだろう。直線基調のインテリアはギッチリと作り込まれているが、1970年代頃にルーツをたどるデザインを隠しているかのようだ。
 
2.1リッター 直列5気筒ターボエンジンは、独特なサウンドで自己主張する。ちょっと硬めの感触の1速に入れ、VWポロやポルシェでおなじみのウィンカーレバーを操作して発進。走行中、数台のFR車が凍った路面で苦戦している姿を見かけたが、クワトロはウィンタータイヤのおかげでスリップする気配をまったく感じない。クワトロは雪道をいとも容易く走らせてくれ、強力なヒーターの存在もありがたい。


凍てつく路面で本領を発揮・・・次回へ続く

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation:Takashi KOGA (carkingdom) Words:Glen Waddington Photography:Stefan Warte

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