走ることは 自分が何であるかを自覚すること│唐沢寿明氏にインタビュー

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ところでオクタン日本版は前号で30号目を迎えた。その表紙を飾ったのはマツダロードスターMX-5だ。マツダが主宰する『メディア対抗ロードスター4時間耐久レース』(今年31回目が開催)にかつて唐沢さんも参加されていたことに話がおよぶと…。

「ロードスターは今でも乗っていますよ。やっぱりMX-5が最高ですよね。まあ今乗るとヒョコヒョコしているけど(笑)、楽しい車です。日本車に対してあれこれ意見もあるようですけど、MX-5が世界に与えたインパクトは凄かったと思います」
 
絶対スピードではなく、走らせることそのものが楽しい車にずっと惹かれるのだそう。「たとえばビートルなんていつもほしい車。いい大人がああいう車に乗っているのが格好いい、余裕を感じるんです。何度か所有してヤナセの最終モデルも買いましたから。新しい車はいいですよね、快適で。けれども徐々につまらなくなる。すると樹脂製のダッシュボードすらも気に入らなくなってくる。で、古いモデルに買い換えると、今度はクーラーが恋しくなる。その堂々巡りです。ロードスターも同じなんです。手放したり、また手に入れたりの繰り返しです」現在"ふつうに"乗れる車はロードスターのみという。

「道が空いている夜に都内を出て箱根まで行って帰ってくる、そんな走り方をしています。でもスピードを出すために空いている時間を選んでいるわけではないんです。純粋に走ることを楽しみたい。きちんと操作する感覚に集中できることが僕とっての走る楽しさなんです」
 
より速く、より快適に移動することを目的に自動車産業は発展してきた。「大切なのは感覚だと思うんです。自分は車の性能に頼って走れているんだということを忘れちゃいけない。電子デバイスで高度に制御された2ペダルなんて、誰でもそれなりに走らせることができちゃいますよね。だから五感が刺激されないし、スピードを実感できないから無闇矢鱈にスピードを出す人が出てきちゃう。サーキットを走るにしたってライセンスが必要、技術が必要なわけですから。スピードには責任と努力が付き纏うはずなんですよ」

文:前田陽一郎(本誌) イラスト:あべ あつし 協力:GO! G O! ラリー実行委員会 Words:Yoichiro MAEDA(Octane Japan ) Illustration:Atsushi AVE Special Thanks:GO! GO! Rally Exective Committee

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