右ハンドルのコルベットは世界初!日本市場への第一弾はすでに完売という人気のカギは?

Derek Makishima

5月29日、心地よい風が吹く晴天のもと、富士スピードウェイにて「ALL-NEW CORVETTE PRIVATE PREVIEW」が開催された。本イベントは本来であれば新型シボレー コルベットの購入予約をした顧客を招待する企画であったが、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を受け、ゼネラルモーターズ・ジャパン株式会社は、来場はメディア取材のみとし、顧客に向けにはオンラインにてリアルタイムでイベントの様子を配信した。

イベントの主役である新型シボレー コルベットは、市販モデルとしてついにミドシップ・レイアウトを採用した。日本仕様の目玉は、何と言っても世界で一番早く右ハンドルを導入したことであるが、そのほかリトラクタブルハードトップを採用したコンバーチブルモデルと、デタッチャブル式ルーフをもつクーペ仕様をラインナップするなど、これまでのコルベットとは一線を画す幅広いターゲットを対象とした存在となっている。





搭載されるエンジンは、今やこのセグメントでは唯一と言っていい自然給気式V8。これは次世代型6.2リッター・スモールブロックV8 LT2であり、パフォーマンスエグゾーストを装備した場合、最高出力495hp(369kW)、最大トルク470lb-ft(637Nm)を発揮する。これはベースモデルのコルベットとしては歴代最強のパワー&トルクとなっている。またLT2エンジンにはシボレー初の8段デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされ、俊敏なシフトチェンジと優れた動力性能を実現している。



新型シボレー コルベットは、まずコンバーチブルから設計が始まったということで、フォルムやパッケージに、スポーツカーとして妥協がない。ジェット戦闘機にインスパイアされたデザインを採用しており、トノカバーにはジェットエンジンを収めるハウジングを模した空力形状のナセルを備えている。このコンバーチブルはトップ収納時でも小型ゴルフバッグ2個を積載できるトランクスペースを確保し、フロントの収納スペースと合わせてクーペと同等の実用性を維持している。



2分割式のルーフトップは、時速30マイルまでの速度であれば走行中でも作動可能で、格納までの所要時間はわずか16秒。コルベットとしては初めてルーフ駆動部に6つの電気モーターを装備しており、エンコーダーを通じて正確に制御される。油圧式から電動式への変更で信頼性をより高めているのだ。標準仕様のルーフカラーはボディと同色だが、オプションでカーボンフラッシュメタリックのナセルとルーフも用意されている。電動開閉式のガラス製リアウインドウが設けられているが、これは遮音性を向上させるとともにキャビン内への風の巻き込みを抑えることを目的とし、風切り音を低減できるように最適化されている。





さらにルーフシステムにクーペの「Z51パフォーマンスパッケージ」と同じリアスポイラーを組み合わせたことで、クーペとコンバーチブルの空気抵抗に差をなくしている。また走りについてもクーペと同等のパフォーマンスを実現すべく、特別に調整したスプリングおよびダンパーを採用してシャシーをセットアップしている。

当日のイベントはゼネラルモーターズ・ジャパン株式会社代表の若松格氏の挨拶から始まった。若松代表は、ペダルレイアウトの最適化、ドライバー中心のレイアウト、スムーズなステアリングコントロールといった新型「シボレー コルベット」の魅力を、シェイクダウンで約2500km走行した経験を踏まえて熱く語った。また、「日本市場への初期配車約300台はすでに完売、日本のみならず世界中でも大きな反響を呼んでおり、需要に対して供給が追い付いていない」と述べた。



若松代表の挨拶が終わり、プロドライバー5名によるでも走行へと移った。今回展示されたカラーは「3LTクーペ トーチレッド」「3LTクーペ アクセラレートイエロー」「3LTクーペ ラビットブルー」「コンバーチブル セブリングオレンジティントコート」「コンバーチブル シャドーグレーメタリック」「2LTクーペ ゼウスブロンズメタリック」の6台(「2LTクーペ ゼウスブロンズメタリック」についてはデモ走行なし)。迫力あるエンジンサウンドが響きわたり、5台が発進。全長4,563mのレーシングコースを2周。フォーメーションを組みサーキットを駆ける様子は、力強さの中に確かな美しさがあり、会場のメディア陣を魅了した。





デモ走行を終え、ドライバーズトークショーへ。モータージャーナリスト清水和夫氏、レーシングドライバー久保凛太郎選手が登壇した。インタビューを受け清水氏は「穏やかでピーキーな部分がなかったというのが第一印象。オープンだから剛性が低いというのは昔の話で、今の時代には当てはまらない。スポーツカーであると同時にグランドツアラー」とコメント。また久保選手は「走り出して1コーナー曲がってアクセルを踏んだ瞬間にこれまでとは全然違う乗り味だと感じた。リアのトラクション、パワートルクがすべて加速につながる。乗っていると楽しくて無口になるほど。」と述べ、両者ともに高揚した様子でインプレッションを語った。

さて、ついに欧州スーパーカーと同じミドシップ・レイアウトを模倣したと勘違いする読者がいるかもしれないが、コルベットのミドシップの開発はすでに60年も前に始まっていたということを知っておいてほしい。その立役者はZora Arkus-Duntov(ゾーラ・アーカス・ダントフ)。ベルギー生まれのアメリカ人エンジニアで「コルベットの父」というニックネームをもつ。彼はプロのレーシング ドライバーでもあり、ル・マン 24 時間に4 回出場し、1954 年にはポルシェ 550 RS スパイダーを駆ってクラス優勝を果たしている。1953年にゼネラルモータースに入社したダントフが、最初に手掛けたプロトタイプが「シボレー エンジニアリング リサーチ ビークル I (SERV I および XP-708 )」であった。

1960 年にデビューしたこのスタディモデルは、インディカーのような外観とミドエンジンレイアウトを有していたのだ。その後、モータースポーツとともに数々のプロジェクトをダントフは率いてきたが、存命中にミドシップのコルベットを完成させることはなかった。ダントフは1996年4月21日にデトロイトで亡くなり、彼の遺骨はケンタッキー州ボーリンググリーンにあるコルベット博物館に埋葬されている。彼の夢は21世紀になって遂に世に送り出されることになったのだ。


シボレーコルベット
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4630×1940×1220mm
ホイールベース:2450mm
車重:1670kg(2LT、3LT)/1700kg(コンバーチブル)
駆動方式:後輪駆動
エンジン:6.2リッターV8 OHV
トランスミッション:8段DCT
最高出力:502PS(369kW)/6450rpm
最大トルク:637N・m(65.0kgf・m)/5150rpm
価格:メーカー希望小売価格(税抜)
「シボレー コルベット クーペ 2LT」11,800,000円
「シボレー コルベット 3LT」14,000,00円
「シボレー コルベット コンバーチブル」15,500,000円


文:オクタン日本版編集部 写真:デレック槇島

オクタン日本版編集部

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