ゾンダ、ウアイラに続くパガーニの芸術作品、その名もパガーニ「ユートピア」

Pagani

パガーニの新型のスーパーカー「ユートピア」が、イタリア・ミラノ音楽院のシンフォニック・オーケストラの演奏をバックに、創業者のオラチオ・パガーニが見守る中、9月12日にお披露目された。

第3のパガーニ

オラチオ・パガーニ が1992年に創立したパガーニは30周年の節目を迎え、「ゾンダ」と「ウアイラ」に続く第3のクリエーションが誕生した。ゾンダのC8プロジェクト、ウアイラのC9プロジェクトに続く3番目のモデル、コードネーム「C10」は新たに何を加えることができるだろうか。さらなるパワー、高性能、優れた構造、エアロダイナミクスはもとより、それ以外には…?



享楽の錬金術」「美の方程式」......パガーニの次なるハイパーカーにとって、大切なことはなんだろうか。 オラチオ パガーニは自身のアイデアを持ちつつも、新たな作品を心待ちにしている顧客たちに、彼らの希望をヒアリングした。すでに並はずれて速く、美しい車を手にしている彼らに不足しているものは何か。この問いかけに対する答えは「シンプルであること」「軽快であること」そして「運転する喜び」の3つだったという。



C10プロジェクトは、時代のトレンドに逆らう形で開発された。重いバッテリーもハイブリッドも使用せず、V12エンジンのみを搭載したのだ。メルセデスAMGがパガーニのために特別に製作した6リッターV12気筒ビターボエンジンは、膨大な開発作業の結果、864bhpの出力と、1100Nmという驚異的なトルクを発揮する。DCTも使わず、純粋な7速MTまたはATが採用されている。すべては、ギアチェンジというものはドライバー自らが行うものであるべきだという考えに基づいたものだ。

このような構想と高い志のもと、理念を具現化するべく彼らはこの新型車をユートピアと名づけた。

彼らが見ているもの

パガーニのすべては、美の衝撃から始まる。ユートピアはシンプルであることが追求されている。 パガーニらしいラインを持ちながら、過去の作品と一線を画す存在感を放つのだ。流れるような、より曲線的なシェイプ。丸みを帯びたアッパーエッジを持つフロントガラスから、ウィングやボンネットのディテールまで、その柔らかな輪郭は新しい表情、新しいアウトラインを生み出する。長い時間をかけて滑らかにし、洗練されたフォルムは、一度見たら忘れられないことだろう。パガーニにとって最も大きな挑戦は、その時代の流行に左右されることなく、時を超えたデザインオブジェクトを創り出すという、当初の意図を可能な限り忠実に表現することだった。



ユートピアは空力アドオン装置がほとんどないにもかかわらず、これまで以上に効率的だ。ハイパーカーの中には、多数のスポイラーを備えているものもあるが、ユートピアはこれらの付属物の機能を全体の形状に組み込んでおり、デザインのみによってより大きなダウンフォースと空気抵抗の低減を実現しているのだ。

スタイリングのディテールも緻密に仕上げられている。技術的にも先進的なシェイプは、スクーター「ベスパ」の無駄がないデザインのヘッドランプやスピードボート「リーヴァ」の部品など、1950年代のものに着想を得た。鍛造ホイールには、タービン状のカーボンファイバーのエクストラクターが装着され、ブレーキからの熱気を逃がし、車体下部の乱気流を低減する。カーボンセラミックディスクに装着されるブレーキキャリパーは、軽量化されたニューデザインだ。

ピレリ社のタイヤは、強大なトルクを効率よく路面に伝え、フロント21インチ、リア22インチという異例の大径ホイールにより、車体周辺のデザインに新しい創造性を生むとともに、卓越した走行感覚を実現する。サイドウォールにはユートピアのシルエットが刻まれ、この作品のために開発されたことを物語っている。



まるで宙に浮いているようなサイドミラーは、エアフォイル形状によりボディから離され、空力的な透過性を高めており、風洞実験による綿密な最適化が施されていることがわかる。リアライトはリアウィングの脇に浮かび、エアエクストラクターにセットされ、その一つひとつのパーツは、宝飾店のウィンドウに飾られていてもおかしくないほど美しく仕上げられている。パーソナルモニュメントでもあり、ブランドのシグニチャーでもあるチタン製クワッドエキゾーストは、熱を効率よく逃がすためにセラミックコーティングを施しながらも、システム全体の6キログラムをわずかに超える程度の重量を実現させた。


オクタン日本版編集部

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