ゾンダ、ウアイラに続くパガーニの芸術作品、その名もパガーニ「ユートピア」

Pagani



未来への展望、過去へのオマージュ

車は彫刻に例えられるが、ドアを開くとすべてが変わる。彫刻でありながら座ることができる、ユートピアの内装は外観よりもさらに独創的だ。

モダンでもレトロでもない、タイムレスなデザイン。ドライバーの前にある最小限のディスプレイ以外には、スクリーンはない。大きなスクリーンは、設置も簡単でデザインの手間も省けるが、美しさが損なわれてしまう。すべての計器が純粋なアナログで、読みやすいダイヤルの一つひとつが、まるで腕時計のスケルトンムーブメントのように、そのメカニズムの一部をさりげなく披露しているのだ。



パガーニにとって、自動車が機能するために必要なすべての部品は、創造性を発揮する機会だ。ステアリング・ホイールも スポークや中空構造のリムからステアリングコラム、ボスまで、すべてアルミの無垢材で作られている。ペダルも金属のブロックから作られている。ギアレバーの構造もむき出しのままだが、より洗練されたものになっている。すべてにおいて、人間工学、効率性、快適性を追求した。

特筆すべき点

ユートピアの非常にシンプルなシェイプに到達するためのプロセスは、かつてないほどに複雑だった。最初のスケッチとコンピュータ計算から、カーボンファイバーの金型に最終的な形状が固まるまでに6年間もの月日を費やしたそうだ。そして、風洞実験での果てしない研究と、数え切れないほどの変更を経て、その内部の空力性能は完璧なものとなり、一度に一つずつ行う無数の修正を繰り返し完成された。ユートピアはエアロダイナミクスの神秘性を生かし、どんなに高速でも確実なハンドリングと安定性を最大限に発揮する。そのアクティブ・エアロダイナミクスは、電子制御ショックアブソーバーと相まって、あらゆる走行条件下で最適な動的挙動を確保する。アルミニウム合金製のダブルウィッシュボー式サスペンションは、サーキット走行専用車である「R」の長期にわたる開発成果から生まれ、「R」の開発で培われた技術が生かされている。しかしながら、ロードユースを前提としたユートピアは、日常的に使用する路面にも対応可能だ。



歴代モデルに採用されてきたカーボンモノコックは、強度、軽さ、製造品質においてパガーニのスタンダードとなっている。彼らは既存の強みを強化し、繊維の織り方を改良し、カーボチタンやカーボトライアックスなどの新しい複合材料を発明することを選択した。さらに、新しいタイプの Aクラスのカーボンファイバーは、ボディワークのような美しさの実現のために特別に開発され、同じ繊維密度で38%の強度を向上させた。

ハイパフォーマンスカーは所有者を喜ばせるだけでなく、要求したり心配したりすることなく求められるすべての安全性を提供し、サポートしなければいけない。多くの場合、ごく一部のメーカーには免除が認められるが、パガーニは安全性を始め、あらゆる面で世界で最も厳しいレギュレーションをクリアした車を作っている。ユートピアは、開発からプレテスト、ホモロゲーションモデルに至るまで、50以上の厳しい衝突テストをクリアし、グローバルな認証を受けている。

パガーニを愛するすべての人のために

メルセデスAMGがパガーニのために特別に製作した6リッターV12気筒ビターボエンジンは、膨大な開発作業の結果、864bhpの出力と、とりわけ1100Nmという驚異的なトルクを発揮する。カリフォルニア州を含む最も厳しい排ガス規制をクリアしながら、より高回転、柔軟、パワフルな走りを実現する。



また、トランスミッションの選択は“哲学的”なものだった。効率的ではあるが、重く、ドライバーが加速のペースを決めることができないDCTは採用せず、パガーニは、モータースポーツと高性能自動車用トランスミッションの分野で最も権威のあるメーカーであるエクストラックに依頼し、ヘリカルギアを用いた最も素早いシフトチェンジが可能なギアボックスを開発した。コンパクトで軽く、横置きのため重心が最適化されている。

さらに、パガーニの愛好家の希望に最も合致するように、バーチャルなマニュアルではない、本物の7速MTが開発された。シンクロナイザーリングを備え、ピュアマニュアルとして十分な1100Nmのトルクを扱える機構を持つこのようなギアボックスを設計するのは容易ではなかっただろうが、ユートピアにとっては必須条件だったのだ。



しかしながら、オートマチックトランスミッションがどんなに高性能になったとしても、ドライバー自身がギアチェンジを使いこなすことに代わる喜びはない。優勢な論理であっても、その時々の状況、道路の状態、その瞬間の気分による個人の判断にかかっているのだ。

オラチオ・パガーニ氏のコメント

「4000枚を超えるスケッチ、10つのスケールモデル、風洞用模型、1/1スケールモデル、そして、数え切れないほどのアイデアとリサーチ、実験を繰り返し、完璧な8台のプロトタイプが完成しました。これらは、タイムレスで最先端技術を駆使し、チームが6年にわたり、情熱と努力を積み重ねた賜物です。この過酷な開発を進めていくにつれ、このプロジェクトが目指す理想は高くなり、何をしても不十分に感じていた時、1999年の初代ゾンダについてロバート・ピューヤルが書いた古い記事を見つけました。そこには、驚くほど深い洞察に満ちた表現で、私がこの新しいプロジェクトにおいて第一に追求していたシンプルさとエレガンスの原理が記されてていました。そうして私は彼を招待し、私たちの新たなステージについて語ってもらってはどうかと、コミュニケーション部門の仲間に提案したのです」

オクタン日本版編集部

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