「MSCヨットクラブ」が贈る至極のクルーズ|「船の中にある特別な船」と評される理由を探る

Octane Japan


クルーズ生活における細やかなケア


キャビンでの生活も極めてストレスフリーだ。朝食や夕食、船内散策などでキャビンを出て、しばらくして部屋に戻ると使用済みのタオルは交換され、ベッドは整えられている。いつの間に?と思うほどの自然なサービスで押し付けがましいところはまったくない。MSCヨットクラブでは好きな種類の枕を選べる「ピロー・サービス」もあり、ゲストに好評だ。夜のターンダウンサービスの際に枕元とテーブルに置かれるスイーツは、すっかり毎晩のお楽しみとなった。



枕元に置かれる個包装のチョコレート一粒以外にも、テーブルの上には毎晩ガラスの器に入ったMSCベリッシマ自慢のスイーツが届けられる。

さりげなく見守られているという安心感も(特に今回は女性のひとり旅だったこともあり)、旅の間にはとても大切だ。事実、筆者が乗船3日目の夜にデッキのドアで指を挟み、指に深めの切り傷を負う出来事があった。とっさに着ていたカーディガンを脱いで患部を巻き、ひとりで止血しながらキャビンに戻ったとき、ちょうど廊下にいたバトラーの姿を見てどれほど安心したことか。彼はすぐに船内の医務室へ連れて行ってくれ、応急処置をして部屋に戻るまでの間ずっとそばにいてくれた。さらに、汚れたカーディガンを「私が洗っておきますから」と持ち帰ってくれた心づかいにも、ゲストのことを家族のように思いやる温かさをひしひしと感じることになった。

この怪我はMSCヨットクラブのクルー間でも共有されたようで、翌日から毎日のように出会うクルーが皆「大丈夫?」と声をかけてくれた。自分の落ち度による怪我で有名になってしまうのは不本意ではあるものの、連日のように具合を気にかけてくれて、包帯が取れた日には自分のことのように喜んでくれたクルーたちの笑顔は忘れることができない。

どんなリクエストにも対応


日本人はリクエストが苦手な人が多いのではないだろうか。少しの不便なら我慢してやりすごしたという経験をもつ人もいるだろう。しかし、バトラーはどんなリクエストに対しても「決してNoとは言わず、どうしたら実現できるかを考えます」と言う。MSCクルーズのヨットクラブディレクターであるロバート・バッラ氏に話を伺うと、過去にはこんな事例もあったそうだ。

単身で乗船した女性が「色彩アレルギー」をもっていることが乗船後に判明した。彼女はひとりでいるときにバーガンディー(ワインレッド)の色を見ると、極度の不安状態に陥るのだという。彼女が通されたスイートルームには巨大なタコの絵画が飾られていたが、その絵はただ吊り下げられていたのではなく埋め込まれたものだった。エンジニアリング部門の協力も得てそのタコの絵を取り外し、バーガンディー色のアメニティも撤去し、さらには赤ワインにいたるまですべてのバーガンディー色が彼女の視界に入らないよう徹底的に部屋を整え、そのおかげで彼女は航海中ずっと健やかに過ごすことができたそうだ。

船内での生活を通じて、これは彼女がMSCヨットクラブのゲストだったからではなく、MSCクルーズのクルー全体に共通するホスピタリティ精神だと感じた。もちろん業務上、MSCヨットクラブのゲストとしてのプライオリティはあるが、それは一般キャビンのゲストをないがしろにして成立させるものではない。

たとえば、こんなエピソードも聞いた。MSCヨットクラブのゲストが下船する際のことだった。予定していた飛行機のフライトまであまり時間がないにもかかわらず、タクシー乗り場は長蛇の列。バトラーは、タクシー待ちの行列に並んでいる他のゲストひとりひとりに事情を説明してお詫びをして先にタクシーに乗せてもらえるよう頼み、その場にいた全員の理解を得た上で自分が担当するゲストを無事にタクシーに乗せることができたという。

冒頭で述べたように、素敵な時間を過ごすにはいかに「不」を解消するかがキモになる。もし些細なことでも「不」を感じたら、遠慮なくリクエストをしてみよう。クルーは皆でそのネガティブ要素を取り払うよう、喜んで尽力してくれることだろう。

オクタン日本版編集部

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