「MSCヨットクラブ」が贈る至極のクルーズ|「船の中にある特別な船」と評される理由を探る

Octane Japan


下船までもすべてがストレスフリー


快適な8日間を過ごし、ネガティブ要素のないまま迎えた最後の夜。一週間以上にわたってゲストを思いやってくれたクルーの温かい気持ちをありがたく噛み締めながら、毎晩通った「ロンドンシアター」へと足を運ぶ。この日の演目は『ジャーニー』と題したミュージカルで、ダンサーとシンガーが欧州各国を旅する設定だ。最後の曲は『Time to say goodbye』で、一緒に口ずさんでいるうちに、もうすぐ旅が終わる…という実感が急に湧いてきて、思わず少し涙ぐんでしまった。

連日通ったロンドンシアター。こちらは航海5日目にロンドンシアターで演じられた「Solid Rock」のワンシーン。MSCヨットクラブのゲストは1~2列目に専用席が用意されるが、ステージ全体を見渡したい場合はこのように一般席から観ることももちろん可能だ。

一夜明けて下船の朝。横浜での下船時刻はグループごとに案内時間が異なり、MSCヨットクラブの下船時刻は8時40分とされていた。指定された時間の少し前にトップセイルラウンジに行くと、8時30分よりも前だっただろうか、バトラーに「さぁ、行きましょうか」と優しく促される。いよいよMSCベリッシマともお別れか…とセンチメンタルな気分に浸る間もなく、ここでも非常にスムーズに、あっという間に下船することができた。下船後のスーツケースの受け取りから、タクシーやシャトルバスの乗り場までもバトラーが付き添ってくれた。最後の最後までずっと寄り添ってくれていた彼には感謝しかない。

専属バトラーに別れを告げて、時計を見るとまだ8時40分過ぎだ。家族が港まで車で迎えに来てくれていたこともあり、神奈川県内の自宅には10時過ぎに到着した。船全体でみると下船には2時間以上かかるようで、最後のグループの下船時刻は11時となっていた。10時台に帰宅できているとはなんとありがたいことだろうか。これぞストレスフリーの極みだ。

クルー全体に徹底されたビジョン


今回の取材では、ヨットクラブディレクターのロバート・バッラ氏から従業員の教育や会社のポリシー、ビジョンについても詳しく説明をいただいた。彼らは「情熱をもち」「進化を続け」「人々を重んじ」「ファミリーカンパニーであることを大切にし」「機会の均等を信じる」、これらを重要な柱としているという。すべての従業員が、共通した明確なビジョンを持って「明日のことを考えながら今日働く」という姿勢は非常にポジティブで好感が持てるし、船全体にその精神が宿っていることが伝わってくる。

ゲストが幸せなら、クルーは幸せ。クルーが幸せでなければ、ゲストを幸せにすることはできない。ゲストもクルーも幸せなら、その家族も周囲の人も皆幸せになる。そんなハッピーの連鎖を、MSCベリッシマの船内では生き生きと感じることができた。

その象徴といえるMSCヨットクラブのサービスは、押し付けがましくなく、さりげなく、温かく、そしてフレンドリー。だが一本筋の通ったクオリティの高いプロフェッショナルの心意気によって支えられていた。

MSCヨットクラブの設備は船首側に集約されているため、食事や日光浴をするにも全長300メートルを超えるMSCベリッシマの船内を延々と歩く必要がない。脚力に自信がない年配者等にとっては、これも大きなメリットだといえるだろう。

さて、気になるMSCヨットクラブのお値段だが、通常キャビンのおよそ4倍となっている。しかし享受できる体験には4倍以上の価値があると筆者は断言したい。MSCヨットクラブは偉ぶるためのステイタス・クラブではない。船内で感じたハッピーの連鎖は、下船後の日常生活においても幸せをもたらすエネルギー源となってくれる。船内で出会ったMSCヨットクラブの他のゲストが「やみつきになりそうね」と笑顔で語っていたように、リピーターが多いことにも納得だ。MSCヨットクラブには、そんな抗いがたい魅力がある。


文・写真:オクタン日本版編集部 Words and Photography: Octane Japan
取材協力:MSCクルーズ https://www.msccruises.jp/

※本記事は2023年6月の乗船時の取材に基づくものであり、クルーズによっては提供されるサービスが異なる場合があります。



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