最高出力864PS!パガーニの最新ハイパーカー「ウトピア」日本初公開

Pagani Automobili

去る12月17日、日本で唯一「パガーニ・アウトモビリ」の正規輸入販売を手がけるSKY GROUP(スカイグループ)は、東京都港区虎ノ門で「パガーニ・ウトピア」を日本初公開。会場となったのは神谷町トラストタワーにある高級ホテル、「東京エディション虎ノ門」の入口横にある、Gold Bar at Editionだった。アジア太平洋地域担当マネージング・ディレクター、アルベルト・ジョバネッリが来日し昼過ぎにはプレス発表会、夜には顧客/招待客向けのカクテルパーティが催された。

パガーニ・ウトピアはゾンダ、ウアイラに続く、パガーニにとって3世代目となるハイパーカーだ。開発には6年以上の期間を要し、4000枚以上のスケッチ、10台のスケールモデル、1台の風洞実験用モデル、そして2台の1:1スケールモデル、そして8台のプロトタイプが制作されたそうだ。ウアイラ同様、アクティブエアロダイナミクス、カーボンファイバーとチタニウムを用いたシャシーで軽さを追い求めながら、さらなるパワーを得た。





乾燥重量わずか1280kgのウトピアが搭載するのは、メルセデスAMGがパガーニのために特別に手掛けた最高出力864PS(635kW)、最大トルク1100Nmを発生する6リッターV12ツインターボエンジン。年々、世界的に厳しくなる排ガス規制だが、アメリカ・カリフォルニア州の排ガス規制をもクリアしている。



「当初、ゾンダはアメリカのホモロゲーションを満たしていなかったので、正規輸出されることはありませんでした。意図したわけではありませんが、これがマーケティング的には功を奏して、アメリカでのパガーニ人気は絶大なものになりました」と笑っていたのは、アルベルト・ジョバネッリ。また、ゾンダの頃から右ハンドルモデルを用意していたので、イギリス、香港、シンガポール、オーストラリアなどで売れたそうだ。

アジア太平洋地域担当マネージング・ディレクターのアルベルト・ジョバネッリ氏。

ウトピアのトランスミッションにはXtrac製の7段ATもしくは7段MTを組み合わせ、横置きにすることで重心の最適化を図っている。あえてデュアルクラッチ・トランスミッションを組み合わせなかったのは、車両重量を抑えるため。また、自動変速機がどんなに進化しようと、ドライバー自らのシフト操作こそがベストである、というパガーニの信条も見え隠れする。





サスペンションは前後ともにインボード式ダブルウィッシュボーンで、アーム類には鍛造アルミ合金を用いている。その造形美は一見の価値がある。今回、披露されたウトピアはオプション(25万ユーロ)であるカーボンファイバー剥き出しの仕様であったが、各パネルとカーボンの網目が揃えられている…。徹底した美へのこだわりは車の随所から感じ取ることができ、ウトピアは単にハイパーカーであるだけでなく、オラチオ・パガーニがハイパーカーというキャンバスに描くアート作品であることが伝わってくる。







ショックアブソーバーは電子制御式で、ウアイラRで採用されたTracTiveが手掛けたもの。ブレーキはブレンボ製で、ピレリが開発した専用タイヤ(タイヤには「HP(パガーニ創業者、Horacio Paganiのイニシャル)」の文字が入る)を履いている。



「ショックアブソーバーは過去にマルチマティック、オーリンズなども採用したことがあります。我々が求めるスペックに基づき、ベストなソリューションを見出しています」とジョバネッリ。かつて、カーボンの編み方について東レに協力を仰いだこともある、とも明かしてくれた。

カーボンといえば…、オラチオ・パガーニはランボルギーニ勤務時代、会社が購入してくれないので自身で銀行ローンを組んでドライカーボン成形のためのオートクレーブ(高圧釜)を購入した逸話の持ち主。ランボルギーニ退職時には、オートクレーブを工場から搬出し、現在に至るまで愛用している、という話をよく耳にする。

「今、パガーニの工場には2機の大型オートクレーブがありますが、ランボルギーニ時代のものも現役です。ちょっと前にウアイラのデビューカラーであった、ローズシャンパンに塗ったところです」と教えてくれた。

ウトピアは99台のクーペ(232万2000ユーロ)が生産されるが既に完売している。そして、日本へは6台の割り当てが決まっているそうだ。にもかかわらず、この発表会が催されたのは「パガーニ創立25周年」を祝うグローバルイベントの一環として、だった。なお、ウトピアにはオープントップモデルの投入も予定されているが、購入枠は残りわずかだという。




文:古賀貴司(自動車王国) 写真:パガーニ・アウトモビリ
Words: Takashi KOGA (carkingdom) Photography: Pagani Automobili

古賀貴司(自動車王国)

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