受け継いでいくべき文化|フェラーリ・プロサングエとともに日本をめぐる4日間の旅

Ferrari

私たちの世界には、受け継いでいくべき有形無形の文化がある。建物や食事、道具、芸術作品は言うに及ばず、それを生み出す人々の技術や知識、経験といったものまでがその対象だ。もちろん、時代の変化とともにそれらを取り巻く環境や価値観も変容し、人の見る目もまた変わっていく。それでも、たとえ形を変えることになったとしても、モノゴトの本質を可能な限り後世へと伝えていこうとする人々の熱い想いこそが、日々の生活を豊かにし、前を向いて生きるということに繋がっていくのだと思う。

車もまた同じだ。伝統の12気筒にこだわり、パフォーマンスにも妥協せず、その上であらたなモダンスタイルを確立した跳ね馬、フェラーリ・プロサングエもまた同じ文脈で語ることができるだろう。

そのことを私は、京都から金沢、松本、富士五湖、湘南、東京へプロサングエとともに走った4日間で確信するにいたった。



DAY1 京都〜奥琵琶湖〜越前海岸〜金沢


千三百年の歴史を湛える古都、京都。世界の一流がみたモダンジャパンを体験するデュシタニ京都を出発し、まずは創業150年の茶筒メーカー、開化堂へ向かう。見た目はなんの変哲もない金属製の茶筒に込められているのは、「作ることではなく、使うことを重視する」という哲学だ。

フェラーリ・プロサングエの旅は“デュシタニ京都”(https://www.dusit.com/dusitthani-kyoto/ja/)からスタートした。

何十年も前に作られた茶筒が修理で戻ってくることも決して珍しくない。150年前の筒が戻ってきても修理できる。それでいて常に新たな商品も開発し続ける。伝統と革新の静かな融合が金銀銅(=真鍮・錫・銅)の輝きを放っていた。

白川通を北上し、三千院のある大原へ。歴史的な鯖街道を北上する。八瀬童子で有名な旧天領地を抜けるとそこからは緩やかなカーブの続くカントリーロード。心地よいV12ノートが比叡の山にこだました。



雨の湖西を走り続け、濡れそぼつ新緑の鮮やかなメタセイコイヤ並木をくぐり抜けて、琵琶湖の北辺に佇むホテル・レストランへとたどり着く。

“ロテル・デュ・ラク”(https://www.lhotel-du-lac.com/)敷地内の高台からは、晴れていれば琵琶湖と竹生島が一望できる。

レストランの名は“SOWER”。世界のグルマンが目指すという“noma”のDNAを受け継ぐ”INUA“出身のシェフがこの地に魅せられ料理長に就任。地産地消を徹底し、伝統的な食文化“発酵や熟成”薪や炭を駆使する一方で、料理の構成やプレゼンテーションは実に美しい。それは昔ながらの価値を大事にする人にとっても、また新たな試みを重視する人にとっても、感動をもって受け入れることのできる世界観だったと言っていい。

この⼟地ならではの「⾵と⼟」を再解釈した料理を提供するレストラン“SOWER”(https://restaurantsower.com/

ランチ後、先史時代から世界に向かって開かれていた敦賀湾の東岸を越前福井方面へ。目指す金沢はもうすぐだ。

加賀の地は長きにわたって東日本と西日本が、そして海から世界も出会う場所だった。美術や工芸といった分野でかの地がとりわけユニークであり続けてきたのは、そうした地理的な重要性が根源にあったからだろう。

この夜。加賀藩重臣の元屋敷の貴重な姿を料理旅館として今に伝える金城樓にて懐石料理をいただく。日本建築の奥深さを体現する建物や数々の調度品、美術品、工芸品などを守り続けるために、“和”のおもてなしを進化させて訪れる人々を楽しませていた。

明治23年創業の老舗料亭“金城樓”(https://www.kinjohro.co.jp/)では伝統の加賀料理を堪能した。

西川 淳

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