闘牛たちの母なる存在ウルス│ランボルギーニ「らしさ」はどこにある?

Photography: Ryota SATO

そもそもウルスという名前は、英語でいうところのオーロックス、闘牛を含む家畜牛の先祖(野生牛)に由来する。オーロックスの血脈に、歴代ランボルギーニがその名を拝借してきた闘牛たち、例えばウラカンやアヴェンタドール、も連なっているのだ。

つまり、闘牛たちの母なる存在。となれば、スーパースポーツでありながら、母のように全てを包み込む度量をもったクルマ、それがウルスということではないだろうか。

 
ミックス型タイヤによってラグジュアリーなスーパースポーツカーのルックスに。


1990 Lamborghini LM002 LM/American

ランボルギーニ初のSUVなどというとLM002があったぞ、とマニアから指摘を受けそうだ。けれどもLM002はLM=ランボルギーニ・ミリタリアの頭文字が示す通り軍用車の委託開発にその端を発するプロジェクトの紆余曲折の末であり、重要なカスタマーであった砂漠の王族たちに向けたアピール(当時のランボルギーニは経営主体がころころと変わった)と言えなくもなかった。
 
80年代のランボルギーニであれば、そのくらいターゲットを絞った商品開発でも面目は保てた。けれどもランボルギーニ社が成長した現代の事情とはまるで異なる。それゆえウルスのターゲットは明快に「家族で楽しめるスーパースポーツ」、となった。単なるSUVではない。スーパーSUVの誕生だ。ウルスは、ウラカンやアヴェンタドールといったトラディショナルなミドシップ2シーターと同じようにスーパーカーとして楽しむこともできるうえに、その二台が“できないこともできる”。


ダッシュボードの構造は、ランボルギーニのアイコン的モデルの「Y」字型に着想を得ているもの。

鍵を握るのが、操縦桿のようなドライブモードセレクターの“タンブーロ”だ。二つあるレバーのうちドライバー側を使えば、ウラカンやアヴェンタドールと同じストラーダ(ノーマル)・スポーツ・コルサ(サーキット)というモードに、テッラ(グラベル)・ネーヴェ(スノー)・サッビア(デザート)を加えた計6モードのなかから、走行環境に応じて好みのセッティングを選ぶことができる。そう、ウルスはサーキットから砂漠までを走破する真にオールマイティなスーパースポーツなのだ。

筆者はサーキットはもちろん、オフロードでもウルスを試した経験がある。視線の高さによるサーキットの攻め易さや、見事な制御によるオフロード走破性の高さには目を見張ったが、とはいえ最も感動したのは一般道でのドライブフィールだった。


エンジンの位置が見えるパワードームや斜めに入っているラインなどはLM002から受け継いだ要素に着想を得ており、フレームレスドアはマルチェッロ・ガンディーニの象徴的なラインを連想させる。

端的に言って最高の“乗用車”である。乗り心地はややソリッドさが優るものの、23インチのスペシャルタイヤでも不快な突き上げはなく常にフラットライドを保ってくれる。アシ元でタイヤが常によく動いているが、ボディが不快に揺れることもない。鼻先は意のままにかつクリーンに動く。クルマの先端までドライバーの意思が伝わっているかのようだ。だから、車体の大きさを必要以上に感じることもない。


最高出力478 kW/650hpを発揮するV8バイターボエンジンを搭載。SUV市場では最高のパワーウェイトレシオを実現した。

じゃあ、ランボルギーニらしさはどこにあるのかって?
空いた道を狙って、アクセルペダルを踏み込んでみて欲しい。
その加速のすさまじさに、きっと“らしさを感じてもらえることだろう。


ランボルギーニ・ウルス 
ボディサイズ:5112×2016×1638mm
ホイールベース:3003mm
車重:2360kg
駆動方式:4WD
変速機:8段AT
エンジン:V8 DOHC 32バルブツインターボ
排気量:4.0リッター
最高出力:650ps/6000rpm
最大トルク:850Nm/2250 - 4450rpm
車両価格:2779万9200円

文:西川淳 Words: Jun Nishikawa

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