特別なヒーレー100に施されたレストアとは?そのすべてを解き明かす!

Photography: Stuart Collins



AHX11はアメリカに渡った英国スポーツカーの典型で、過酷な使用とお約束の錆と急場しのぎの雑なリペア跡が歴然で、真剣なレストレーションが必要な状態だったにもかかわらず、施されていたのはやっつけ仕事だった。同車は2004年のオークションで決して安くは無い£36,000で落札され、その後コベントリーのケープインターナショナルに送られて問題が明るみにでた。ケープのスティーブ・ノートンはワーウイック製を含むヒーレー100は裏の裏まで知りつくしていている人物で、すぐにエンジンの塗色(ワーウイック製はダックエッグブルー)、リアのフェンダー形状の間違いなどの膨大な数の問題点に気づいた。「ジレンマは、ワーウイック製はそれぞれが皆異なっているということだ」と、スティーブは言う。



「目の前の状態が1970年代に誰かが行った切り継ぎ仕事なのか、90年代のレストアなのか、はたまた工場出荷直前に行われた仕様変更なのかを見極めるのが難しい」。そこで彼は金属加工、板金のスペシャリストであるコベントリープロトタイプパネルズ社に車を持ち込み、溶接技術と溶接の年代を分析し、オリジナルのワーウイックの仕事がほとんど失われていないことを確認したのである。残念なことにこの車に以前施されたレストレーションはあまり良心的なものではなかったようだ。サイドシルの高さは正しくなく、アルミフェンダーの下部はカットされシルにリベット留め!されてパテ埋めされている。

また過去に事故をおこした際に正しくないリアエンドが装着されたらしい。左右そっくり新品に交換してもたった£50ほどの錆の酷いシャシーアウトリガーは交換する代わりに雑なメッキが掛けられていた。エンジンマウントブラケットはラインからかなり外れた位置にあり、そのためラバーマウントを引き千切っていた。特殊な形状のインナーフェンダーにはラフなツギがあてられ、オリジナルのトランクリッドはそもそも紛失していたしボディ全体はそこいらじゅうがスプレー充填材の御世話になっていた。だが悪いニュースばかりでもなかった。量産型シャシーと異なるシャシー、手曲げの各ボディパーツ、量産型より小さめのレッグルーム等、重要なオリジナルの特徴の大部分が損なわれず保たれていたのだから。エンジンはオリジナルで、メインとビッグエンドベアリングキャップの、緩み止めの溝を持つナットを始めとする種々のワーウイックの大きな特徴を持つ。



こういうポイントは明らかに真性のヒーレーオタクのためのものかもしれないが、でも、こういう小さな違いが存在することを知ることも楽しいではないか。プロダクションモデルのボディはフェンダー、ドア、ボンネット、およびトランクは機械プレスのスティール、前後シュラウドはアルミだった。ワーウイックモデルは全てが手たたきのアルミパネル製で、シェイプのキレがよく、スエッジラインも深くはっきりしているところが大きな違いだ。



熟練のリペア技術で、AHX11のオリジナルドア、前後シュラウドは保たれたが、フロントフェンダーは交換しなければならず、そのスエッジラインはワーウイックのボディシェイプに合わせて注意深く再現された。紛失したトランクリッドはシカゴまで追跡して在り処を突き止め、元の場所に戻された。AHX11の修復に関しては各部分の事実関係の確認作業が要求されたが、スティーブは他のワーウイックカーのオーナー達の協力を得てこれを成し遂げた。その結果は、49全てのワーウイックのオリジナルワークを可能な限り残し、かつ再現したすばらしいレストレーションとなった。

編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation: Kosaku KOISHIHARA Words: David Lillywhite 

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