かつては救急車だった車が今は波乗り用に!シトロエンCX

Photography: Kazan DAIGO

CXをストレッチした超希少なアンビュランス(救急車)。日本ではロングボードも積める「波乗り用の車」として活躍中だ。

波乗り用の車に正解も不正解もない。しかしあえて“定番”を考えるとすれば、それはアメリカ製あるいは北欧製のちょっと古いステーションワゴンか、あるいはフォルクスワーゲン タイプ2(いわゆるワーゲンバス)あたりだろうか。
 
だが、こちら竹村洋一さんが波乗りのために使っている車は、予想を斜め上に大きく超えた希少車「シトロエンCXアンビュランス」だった。CX アンビュランスとは、文字通りアンビュランス(救急車)として使われることを前提に作られたCX のストレッチモデル。本国ではカタログにも普通に載っていた仕様である。

竹村さんがこのCXアンビュランスを見つけたのは約20 年前のスイスで、「これはイイ!」ということで購入を決意。そしてチェコにて12 年かけてレストアし、その後陸路にて日本へ搬入した。


 
もともとは救急車ゆえに簡単な手術も行われていたという後部スペースを、普通の居住スペース&サーフボード等積載スペースへと“改築”。そしてオートマチックトランスミッションは、CXプレステージターボ2 のマニュアルトランスミッションおよびエンジンへと換装した。
 
ゲテモノあるいはウケ狙いとも取られかねない「波乗りグルマとしてのCXアンビュランス」だが、オーナーの竹村さんによれば「ぜんぜんそんなことはない」という。

「ご覧のとおりロングボードも余裕で車内に収容できますし、結局はハイドロのCXですから、高速道路ではとにかく速くて静かで快適なんです。特に、車体中央付近にある2 列目シートはどこをどう走ってもほとんど揺れませんから、この車の特等席といえるかもしれませんね」


 
全長5.5m 、全高1.9mというなかなかのサイズとなるCXアンビュランスゆえ、さすがに「ちょっとそこまで」みたいなシチュエーションで使うことはないという。だが波乗りに行くときは、常に必ずこのアンビュランスだ。
 
スイス人の救命ドクターも、まさか20 年後にこのような使われ方をするとは夢にも思っていなかっただろう。でもよく見ればこの車、海にもけっこう(かなり?)似合っている。

文:谷津正行 写真:ジャベル、大子香山 Words:Masayuki TANITSU 

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