ぎっしりと並ぶのは英国車のみ!│イギリス最大のバイクのミュージアム

Photography: Tomonari SAKURAI

まだまだバイクに乗れない状況が続くヨーロッパ。SNSやフォーラムではいつもならツーリング先からの自慢のバイクの写真などがアップされるのだが、ここのところはみんな磨き上げた愛車の写真ばかりになっている。MotoGPもWSBもかいさいされず、eSportsとやらでライダー達がゲームで争うなんていうのがネットで配信されている状況。これが昔だったらどうなってんだろう?なんてことを考え始めたらMotoGPの昔のバイクが気になり出した。

オートバイの黎明期、いや、バイクレースの黎明期の頃から単気筒のレーサーがかなり長い間トップを占めていた。改めて考えてみると、それは驚くべきことだろう。単気筒レーサー、特にノートンマンクスは着実に進化をして行きエンジンのみならずフレームやサス、ブレーキを含む足回りなどトータルのバランスを突き詰めていき完成の域に達するほど。60年代になるとジレラやMVの4気筒、3気筒の多気筒マシンが登場し1位を取られることがあっても2位以降は未だシングルエンジンのノートンだったりする。

ノートンがワークスを撤退してプライベーターがレーサーを購入して参戦したマシンにマルチエンジンのマシンが刃が立たないというのがしばらく続くほどだったのだ。バイクレースの黎明期は英国車の独壇場だった。日本にいたときは別体のトラのエンジンをノートンフレームに載せたレーサーで筑波サーキットを走ったっけ、などと思い出した時にもうひとつ思い出した。もう10年も前の話だが、イギリスのThe National Motorcycle Museumに行ったことを思いだした。イギリス第2の都市バーミンガムにイギリス最大のバイクのミュージアムがそれだ。


トライアンフが集められた一角。


最大のバイクミュージアムであり、そこの展示は英国車のみというのも凄い。さすがイギリス。このミュージアムは2003年火事によってかなりの規模で消失してしまった。たばこの不始末からスプリンクラーのない古い建物は瞬く間に燃え広がり、夕方の通勤ラッシュにぶつかって消防車の到着も遅れたために5つあるホールのうち3つが全焼。ミュージアムに残っていたスタッフが必死の思いでコレクションを野外へ。300台近くを救ったものの380台を失う大惨事となった。


1956年にアメリカ、ソルトレイクボンネビルにおいて305.204km/hで世界最速をマークしたストリーム・ライナー。ここからT120はボンネビルと名付けられた。この展示されていたストリームライナーは、2003年の火事でかなりの被害を被ったが見事にレストアされたのだった。



ブラフ・シューペリアが1938年に発表したGolden Dream。水平対向4気筒エンジンと行って良いのだろうか?シリンダーは上下に配置されており、上下それぞれクランクが別にあり反対の回転方向を持つ。そのことで振動を打ち消し、スムーズな乗り心地を追求したモデルだ。

寄付を募る15か月後にスプリンクラー付きで博物館は再開されたのだった。びっしりと並べられたコレクションは見応えがあり、当時記録を出した車両や、プロトタイプなども展示されている。現在はトライアンフの3気筒がMoto2で世界を走るなどして見事に復活している。その原点がここで出会えるのだ。

写真&文:櫻井朋成 Photography&words: Tomonari SAKURAI

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