参加者自身が創り上げる夢のような時間|Tour d'Elegance Japan 2021

Kazumi OGATA, Ryota SATO, Claire and Ayesh


Day2:駿河湾から河口湖へ


前日に続いて、晴天に恵まれたDay2。葛城北の丸ではドライバーズミーティングと、コンテストの投票が行われた。Tour d'Elegance Japan2021ではツーリングのみならず、車両の美しさを評価する仕組もオリジナルの方法が採用された。審査員によるコンクールではなく、参加者同士の互選によるコンテスト形式で「Most ElegantCar」「Most OriginalCar」「Most Desirable Car」の3つのカテゴリーにふさわしい車に投票するというものである。

いわば、強制的に互いの車をじっくり観察する機会が訪れたことで、コミュニケーションが深まったことは論を待たない。愛車のヒストリーやコンディション、オリジナリティを維持するための苦心など、同好の士に語る言葉は溢れ出てくる。同好の士は即ち、同志でもあるからだ。



この日はしばらく一般道をドライブ。2002年のサッカーワールドカップの会場となったエコパスタジアム(小笠山総合運動公園スタジアム)の外周をぐるりと回り、南進して浜岡砂丘と遠州灘の風を浴びながら御前埼灯台へと到着した。白亜の洋式灯台は1874年に完成。国の重要文化財に指定されているAランクの保存灯台で、一般観覧者が入ることのできる、貴重な「のぼれる灯台」だ。

晩秋はオープンエアのドライブに最適な気候。遠州灘と駿河湾の海風の中を、御前埼灯台を目指してアルファロメオスパイダー"デュエット"とフェラーリディーノ246GTSが駆け抜ける。

続いて車列は駿河湾を右に見ながら、北へと向かう。日本武尊(ヤマトタケル)の伝説に由来する日本平は、富士山や伊豆半島が遠望でき、眼下には清水港の街と海が広がる景勝地だ。この日は山頂付近にある日本平ホテルでランチ。ホテル最上階のバンケットルームから、芝生広場に並べられた愛車と絶景のセッションを眺めつつ、コースメニューを味わうという趣向だ。





静岡の海の光景を堪能したあとは、静岡の山の美しさを目に焼き付けておきたい。清水の市街地を抜け、清水 ICから中部横断道を経由して富士宮市街へと向かう。白糸の滝のロータリーを通り、朝霧高原へと向かうに連れて、夕暮れに染まった富士山の姿がどんどん大きくなっていく。山梨県に入り、富士五湖の1つである西湖に映る逆さ富士を拝むと、 Day2の宿泊地である「ふふ河口湖」が目前に迫ってきた。

夕暮れの富士西麓を疾走する、ジャガー XK120。赤富士は晩夏、紅富士は真冬の名物で、秋に赤い富士山を拝めるのは西側に位置する朝霧高原の特権だ。

スモールラグジュアリーの宿として知られる「ふふ」。全客室に天然温泉による露天風呂を備え、富士山を望めるシアタースタイルに配されている「ふふ河口湖」は、緑に囲まれた閑かな森のリゾートだ。3日間の中で、最長の行程となったこの日。長時間のドライブで疲れた体をゆっくり休めることができる、上質な温泉と食事、広々としたスイートルームがセッティングされていた。



ホテルでは、先導役と最後尾を任されたロールス・ロイスの試乗会も開催。オールド・モデルに御執心のドライバー揃いとはいえ、最新のゴーストやファントムを駆ることに興味がなかろうはずがない。その静粛性と上質な乗り味、豪奢な装いには、歴戦のドライバーからも感嘆の声が挙がっていた。

ファントムとゴースト、2台のロールス・ロイスがツアーをサポートした。最新モデルがもたらすラグジュアリーな世界は、クラシックカーとはまた違った趣を持つ極上空間。多くのドライバーが試乗のステアリングを握り、バックシートに体を埋めた。

文:渡瀬基樹

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