優雅で、少しチャレンジングな大人のクラシックツアー|Tour d'Elegance Japan 2022

Kazumi OGATA, Ryota SATO


Day4:富山から飛騨、長野へ


Day.4は小雨に加えて、風速10m以上の風が時折吹き荒れるという、あいにくの天候となったが、歴戦のドライバーたちが臆することはない。富山から飛騨方面へと国道 41号を登っていき、奥飛騨温泉郷から安房峠を抜ける、北アルプス越えのルートへと向かった。神通川と高原川沿いのワインディングロードは、ドライバーの挑戦心をくすぐる絶好のルートだ。標高 1373mの安房峠道路は例年であれば雪がちらつく季節だが、今年の11月は比較的気温が高かったため、障害となることはなかった。

岐阜県から長野県へ入り、梓川に沿って松本市内へと向かう。目抜き通りを通過し、なまこ壁の土蔵が残る「中町通り」へ。このツアーでは宿場町の熊川宿、港湾近くの岩瀬地区など歴史を感じる場所へ訪れたが、城下町の雰囲気を感じられる松本市街は、またひと味違った趣がある。



ランチは、こちらも「ルレ・エ・シャトー」のメンバーである、フランス料理の「ヒカリヤニシ」で。120年前に立てられた商家をリノベーションした建物で、信州牛などの地元食材を活かした「ナチュラルフレンチ」に舌鼓を打ったあとは、いよいよ旅は最終盤へ。天守閣が国宝に指定されている5つの城のうち、もっとも歴史のある松本城の横を通り過ぎていく。

Day.4は天候がすぐれないこともあり、提示していたルートはあくまで参考ルートとすることとなった。もともと松本から上田に向かい、そこから浅間山を4分の 3周する形で、ゴールの「THE HIRAMATSU軽井沢御代田」へと向かうルートを設定していたのだが、山の周辺は天候が変わりやすいこと、街灯がなく左右に背の高い木が生い茂っているうえ、通過時間帯が日暮れ間近となる見込みだったため、安全性を考慮してショートカットを許可。それでも当初のルートに果敢に挑戦した3台には、ゴール地点ではラルフ ローレン日本、韓国、オーストラリアCEOのジェイ・キンプトン氏をはじめ、多くのスタッフからの拍手が贈られた。

ゴールのTHE HIRAMATSU軽井沢御代田へ到着。長旅の疲れよりドライブの楽しさが上回ったのか、参加者の皆さんは一様に笑顔を見せていた。

ツアーは全日にわたって、4台のレンジローバーがサポート。オン/オフを問わない優れた走行安定性と静粛性を持つ。大柄なボディながらオールホイールステアリングのおかげで、小回りがきくのも魅力的だ。

最終日はブラックタイでフレンチのフルコースを堪能したあと、場所を移してパーティを開催。Day.2の朝に投票が行われたコンテストの授賞式が行われた。「Most Elegant Car」には1937年SSジャガー100、「Most Original Car」には1956年ポルシェ356Aスピードスター、「Most Desirable Car」には1965年ジャガーEタイプが選ばれた。

オブザーバーの奥山氏は「最新のプロダクトは再生できないが、クラシックカーは作ることができる。これこそがクラシックカーが長く愛される理由です。ぜひ大事にしてください」とコメント。一方で中村氏は「私はクラシックカーは作ることはできないと考えています。車は安全性、環境性などの問題でまったく同じものは世に出てこないからこそ、大事にしなければならない。私も大事にしていきます」とお話された。お2方のクラシックカーに対するアプローチの違いが垣間見えた一方で、クラシックカーへの愛情はいずれ劣らぬ強固さであることも窺えるお話だった。

「イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした男」である奥山氏。自動車だけでなく鉄道車両や家具、腕時計など多様な分野のデザインを手がけている。

昨年に続き、オブザーバーとして参加いただいた中村史郎氏(写真右から2人目)。いすゞでジェミニやビークロスをチーフデザイナーとして手がけたのち、日産でデザイン本部長および専務を務めた。

クラシックカーツアーの新たなスタイルを生み出した昨年に続いて、今年も盛況に終わった「Tour d'Elegance」。参加者からは最高の食事とホテル、走って楽しいツーリングコースの設定、スタッフのホスピタリティを賞賛する声が多く挙がっていた。早くも来年の開催を期待する声が高まっている。


文:渡瀬基樹 写真:尾形和美、佐藤亮太、小林悠佑
Words:Motoki WATASE Photography:Kazumi OGATA, Ryota SATO, Yusuke KOBAYASHI


文:渡瀬基樹

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