途方もなくレアなLP400!「鋼のカウンタック」、レストアの記録

Automobili Lamborghini, Yusuke KOBAYASHI


ふたたびサンターガタを訪れる


話をもとに戻そう。けんちゃんにとっての最大の問題は、ボディパネルをすべてアルミニウムに戻してペリスコープを付けたごく標準的なLP400として仕上げるか、スティールボディのスコープなしでいくか、の選択だった。判断材料に乏しく、果たしてスティールボディの由来もよくわからなかった。後からどこかの誰かが作って被せたボディパネルなのであれば、これを機にアルミニウムボディで復元してもらう方がいいという気持ちに彼が傾いていたとしても責められない。そもそもスティールボディだと知っていれば買っていなかったのだ。

「もしよかったら、どうするかを決めるのでもう一度一緒にイタリアへ行ってもらえませんか?」。筆者も再び同行することになった。初訪問からわずか2カ月、2017年5月のことだった。

2017年5月





2カ月後に再訪することになったのは、思いもよらぬ理由からだった。ペイントを剥がしてみるととんでもない事実が明らかになったのだ。なんとフードや天井以外、すべてスティールパネルでできている!パネルとフレームの溶接方法や、またアーカイブに残るオリジナルペイント(ディノブルー)跡などから本社工場製である蓋然性が高いという。

再びやってきたサンターガタ。ボディは塗装が剥がされ剥き出しに。ところが肝心のポロストリコからの報告はというとスティールパネル化に関してはどこかもう一つ釈然としないものだった。「いつ」「どこで」「誰が」「何のために」そうしたのか、を、我々は知りたかったのだが本社のアーカイブを見ても正式な記録が残っていないのだという。けれどもボディパネルをバラしていくと、鋼管フレームへのパネル接合などには明らかにサンターガタ工場でアッセンブリされたと信じるに値する痕跡を多く見つけたらしい。つまり、何時・なぜ、については未だ明確に分からないけれど、「どこで」「誰が」に関しては「サンターガタで」「ランボルギーニが」おこなった蓋然性が高いというわけだった。

なぜ?に関しての答えが見つかれば、自動的にいつ?もわかるはず。ポロストリコからは58番目生産の個体ゆえ、次期型からの北米輸出の可能性(衝突安全テスト)を考えてのエクスペリメンタルな車体だったのでは?という見解も出された。けんちゃんは確証のないままに決断を迫られる。

決断は「スティール、ペリスコープなし」。ただし条件はあった。ランボルギーニが作ったと認める、もしくは、少なくともそういうプロジェクトとしてこのレストアをスティールボディで再現することにお墨付きをもらえるのであれば…。

西川 淳

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