途方もなくレアなLP400!「鋼のカウンタック」、レストアの記録

Automobili Lamborghini, Yusuke KOBAYASHI


5年半をかけたレストレーションが完成


かくして#1120116の本格的なレストレーションが始まった。以降、筆者も何度か同行した。スペシャルボディショップの見学もできた。大まかなプロセスは写真を追って欲しい。

作業の進捗は決して順調とはいえないものだった。ポロストリコの組織改変や外注先プロフェッショナルの変更があり、そのうえ新型コロナ禍がやってきた。

2017年7月
再び2カ月後の訪問。この個体がなぜスティール製パネルを持つかについてのドキュメントは未だ発見されていないが、サンターガタで作られたという点では本社サイドの承認が得られたということに。スティール製ゆえ早くもサビが散見される。けんちゃんは世にも貴重なスティールボディ、つまり“鋼のカウンタック”を復活させることにした。

2018年4月


半年ぶりに訪問。その間もポロストリコはスティール製ボディの理由について様々な関係者のインタビューを進める一方で、スティールボディ復活のための作業に取り掛かっていた。鋼管パイプフレームと同様、下地の防錆処理が施された美しき“鋼のカウンタック”だ。天井のペリスコープは後からどこかの誰かが作り直したことが判明している。

2018年7月



ボディがいよいよ外注のスペシャルボディショップへと出されることに。ミラノのスペシャルショップを訪れた。この後、ポロストリコと外注先との関係見直しが入り、作業の遅延が起こるとは知る由もなかった。新型コロナ禍の 1年半前のことですべての作業は順調に進むと思われたのだが。ボディパネルにはプライマリー処理が施されている。

2020年10月



ポロストリコの組織変更や新型コロナ禍の影響で作業が思うように捗らなかったことに加え、訪問して進捗状況を確認することもできず、また写真撮影すらままなかったため、これ以前 2年間の写真記録がない。年に数回のペースで取材を続けていれば…。なんとも惜しいことだ。ボディ塗装を終えてエンジンや内装を組み込み始めた。

ポロストリコからひとまず完成の報が届き、その披露をかねた試走テストがモデナサーキットで行われたのは、前回報告した通り2022年10月のこと。#1120116がイタリアに里帰りしてから5年半が経っていた。

2022年10月



さらに2年が経過。もちろんこの間も取材ができていない。ポロストリコから完成の連絡があり、モデナサーキットで納車、テストが行われたことは前号で報告した通り。返す返すコロナ憎し、である。ポロストリコは依然、当時の関係者からの事情聴取など歴史の探検を続けている。ペリスコープのない“鋼のカウンタック”がついに走った!



文:西川淳 写真:ランボルギーニ、小林悠佑
Words:Jun NISHIKAWA Photography:Automobili Lamborghini, Yusuke KOBAYASHI

西川 淳

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