ゆっくり見学できる今がチャンス!パリの最新観光スポット、エリゼ宮の博物館「LA MAISON ELYSÉE」

Tomonari SAKURAI

フランス大統領官邸および執務室であるエリゼ宮は、フランス語では「Palais de l’Élysée」と書かれる。シャンゼリゼ通りの「シャンゼリゼ」と名前が似ているが、フランス語では「Champs-Élysées」と書く。「シャン(Champs)」は「平原」など開けた場所を意味し、「エリゼ(Élysées)」はギリシア神話で、神々や英雄が死後に安らぐ楽園を意味する。このことから、フランスの大統領官邸は「楽園」を意味する名前をもつことになる。



このエリゼ宮は通常は一般公開されていないが、特定の日、例えば世界遺産の日には特別に公開されることがある。その際は、数時間待ちが必要になるほどの人気スポットとなる。

そんなエリゼ宮の向かいに、エリゼ宮に関連する博物館がパリオリンピックに合わせて7月30日にオープンした。これにより、パリに新しい観光スポットが誕生。この博物館では、エリゼ宮の歴史やフランス大統領に関する展示が行われている。歴代の大統領、例えばシャルル・ド・ゴールやフランソワ・ミッテランが使用した1740年製のデスクや、「サロン・ドレ」(金色の居間)が再現されている。また、エリゼ宮の料理人たちや、食事に使われるテーブルウェアの展示、大統領警護隊GSPRの紹介なども見どころのひとつ。

入口にはシャンデリア。エリゼ宮の雰囲気を演出している。

最初に迎えてくれるのは「共和国衛兵隊」。エリゼ宮の衛兵隊で騎馬隊もあり、パリ祭のシャンゼリゼ大通りでの軍事パレードにも参加することで有名だ。

黄金の間が再現されている。

歴代の大統領が使用した1740年に作られたデスク。

エリゼ宮で使われるテーブルウェア。フランスの伝統とそれを守る職人技が今も生きている。

フランス王立製陶所であるセーブルの陶磁器が使われる。かつて、陶磁器にフレンチブルーが使えるのはこのセーブル焼きだけだった。銀食器はクリストフル、クリスタルガラスはサンルイ。リモージュのレイノーなども使われている。

大統領警護隊GSPRの徽章。GSPR(Groupe de sécurité de la présidence de la République)は1983年に誕生し、国家憲兵隊に属する。

特に注目すべきは、世界中から贈られた贈り物の展示で、マクロン大統領のお気に入りとして、日本から贈られた漫画「ワンピース」の原画が一番大きく展示されている。

マクロン大統領にワンピースの原画が贈られた時の写真。

その原画も展示される。

さらに、2階には三ツ星レストランのシェフ、アラン・デュカスがプロデュースしたカフェも併設されている。日本とは異なり、フランスのお土産屋さんは一般的に特色に欠けることが多いが、この博物館のショップは一味違う。入ってすぐにあるお土産コーナーには、トリコロールとエリゼ宮のロゴがあしらわれたアイテムがずらりと並び、鉛筆やマルセイユ石鹸、マグカップ、紅茶、テーブルウェアなど、フランス御用達ブランドの製品が豊富に揃っている。特におすすめなのは、フランスの国民的スポーツであるペタンクの球やケースだ。

2階にはアラン・デュカスのプロデュースによるカフェがある。

マルセイユの石鹸。エリゼ宮で使われているものと同じものが購入可能。

エリゼ宮で飲まれるお茶はKusumi Tea。

食器類はドグレンヌのもの。ドグレヌは戦車の装甲板を再利用してカトラリーを作ったのが始まりで、今では高級テーブルウェアーブランドとなっている。

チョコレートはアラン・デュカス。

ペタンクの3つの金属級を入れておくケース。

こちらがペタンクの球、ブールとマーカー、コションヌ。

エリゼ宮のスノードーム。

BICのボールペン、エリゼ級バージョン。

オリンピックとパラリンピック開催期間中は入場無料で、まだそれほど知られていないため、ゆっくりと見学できる今がチャンス。次回のパリ旅行での立ち寄りたいスポットの候補としてみてはいかがだろうか。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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