魂を揺さぶる「オモロガート」の魅力│3台のフェラーリが生んだ名車を振り返る

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私が子どもだった1970年代、世界で最も美しい車といえば、フェラーリ308GTBだった。私も1台持っていたし、今も持っている。といっても、ポリスティル社の1:25 スケールモデルだ。それをあらゆる角度からほれぼれと眺めたものだった。やがて1980年代半ばに288 GTOが登場すると、私は完全にノックアウトされた。308の面影を残すパーツもあったが、その繊細さはたくましい筋肉に覆い尽くされていた。それでも胸が痛くなるほどの美しさは相変わらずで、リアのホイールアーチには、250 GTOへのオマージュとして3本のルーバーが加わっていた。
 
『Motor』誌に掲載された写真が大好き
だ。日差しを浴びるバルコニーからまっすぐ見下ろしたショットで、ホイールアーチが広がり、ホイールベースも延長されたことがはっきり見て取れた。この変更は、ハーヴェイ・ポスルスウェイト博士が、横置きだったV8 エンジンを90 度回転して縦置きにしたためだ。こうして確保したスペースにIHI製ターボを2基搭載し、そのブーストで最高出力は400bhpに達した。


 
モータースポーツを念頭に造られた
250 GTOと同じように、288 GTOもグループBのレギュレーションに則って設計された。ホモロゲーション取得に必要な200 台を生産する予定だったが、本当にレースやラリーで使う意思があったのかどうかは不明だ。最終的に製造された272台は、すべて純粋なロードカーだった。とはいえ、非常に優れたロードカーだ。
 
ついにこの憧れの車と対面し、ドライブする日がやってきた。私は車の弱点を見
つけることも覚悟していたが、308 に似た快適な車内に収まり、ウェールズの道を飛ばすと、すっかりノックアウトされてしまった。ノンアシストのステアリングは繊細かつダイレクトで、ブーストされた2.8リッターのV8エンジンはとてつもないパワーだ。とりわけ魅力的だったのが、よく制御された乗り心地だった。その日はF40とF50とエンツォも1 台ずつ用意されていたが、288 GTOは、F40と同じくらい速く、エンツォがカーボンのアンダーボディをこするような路面でも滑らかに進み、F50が醜悪に見えるほど美しかった。

1台持ち帰ることがかなうなら、私が選ん
だのは間違いなく288 GTOだ。(Words: John Barker)

Words: Steve Sutcliffe

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