魂を揺さぶる「オモロガート」の魅力│3台のフェラーリが生んだ名車を振り返る

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フェラーリ"通"の中には、GTOという
神聖なる名称に関する限り、599 GTOは偽物であり、茶番ですらあると主張する人たちがいる。なぜなら、599はこの伝説的名前にふさわしいモータースポーツのヘリテージを一切持たず、したがって、今も、そしてこれからも、決して正当な"GTO"たり得ない、というのだ。
 
この主張にも一理ある。あの魔法のバ
ッジを身に付けてきたかつてのモデルと違って、599 GTO のDNA にはモータースポーツの歴史に直接つながるものがない。したがって厳密にはGTOと呼ぶべきではないのだろう。
 
ただ、こういう反論もできる。すべての
フェラーリは、フェラーリであるというただそれだけで、DNAの中に連綿たるモータースポーツの歴史を宿しているのではないか。そうだとしたら、GTOのバッジをどう使おうとフェラーリの自由だ。結局のところ、どの車がGTOの名にふさわしいかを決めるのはフェラーリなのだ。


 
名前に関する議論はさておき、599
GTOは衝撃的なドライビング体験ができる車だ。それは発表当時も今も変わらない。2010年のイタリアでの発表会では数人が試乗できたが、私は幸運にもそのひとりだった。舞台はMoto GPで有名なムジェロ・サーキットと、その周辺の風光明媚な道である。当時のフェラーリCEOアメデオ・フェリーサと、テストドライバーのマルク・ジェネも出席していた。
 
午前中はサーキット走行に関する指導を受け、いよいよ午後に車がお披露目された。新しい巧妙な空力パッケージや、標準の599 に比べてシャシーやブレーキやエンジンがいかに進歩したかについて説明を受けた。その後、参加者は599 GTOによる予選シミュレーションを体験した。すべてのデータを収集し、走行するごとに新しいタイヤに履き替える本格的なものだ。
 
私は度肝を抜かれた。そのノイズとパワ
ー、サーキットで攻めたときのスピード、そして何より、シートやステアリングやペダルを通して伝わってくるフィーリングが、599 GTOを実に刺激的な車にしていたのだ。それだけでも、GTOのバッジを付けるに値する。いわゆる"通"が何といおうと、私の気持ちが変わることはない。

Words: Steve Sutcliffe

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