「101年目のシトロエン試乗記 その2」 C5エアクロスSUV シトロエンによる新しいコンフォートの定義

Photography:Yoshisuke MAYUMI



極めて優秀な現代の高速ツアラー


一方、高速道路でのC5エアクロスSUVはフラット感というかスタビリティ指向が強まる。片側の車線のみでも認識し、また車線の中央にこだわらず、ドライバーが任意で車線内の左右位置を選べる制御が組み込まれたレーンポジショニングアシストのおかげもあって、直進性は強引なまでに良好だ。つまり現代的な高速ツアラーとしての能力は非常に高い。しかし中速域で見せたハイドロシトロエンのような長い周期での揺れの収束を楽しめる回数は残念ながら多いとはいえない。

ハイドロシトロエンと比べるのではなく、操縦安定性や緊急回避性能の要求レベルが高くなった現代の車のなかで見れば、C5エアクロスSUVの足回りの柔らかさと快適性は間違いなくトップレベルである。そして後述のようにコーナリング性能まで含めた足回りの総合点では、過去のどんなハイドロシトロエンをも凌駕している。




ちなみに昨年の晩夏に河口湖で乗ったC5エアクロスSUVはオールシーズンタイヤを履いていて、低速域で小さな凸凹を忠実に拾うことが気になった。しかし今年2月のガソリンモデル追加と同時にサマータイヤが標準となり、この問題が見事に解消していたことは付け加えておきたい。


リニアなコーナリング性能、素晴らしい2.0Lディーゼル


今回は乗り心地中心のインプレッションだが、C5エアクロスSUVの動力性能の特筆すべきポイントとしてリニアなコーナリング性能も挙げられる。まるでリアがステアしているような印象でキレイにラインをトレースしていく。ロールとの戦いの歴史だったハイドロニューマチックに比べるとこの点では明らかに優位に立っている。

そして2.0Lディーゼルがとても良い。回転が軽く十分なトルクを広い回転域で供給するのは当然として、望外にパワフルだった。一方で先日乗ったばかりのベルランゴに比べると8ATはややスムーズさを欠く印象だ。ダイレクト感こそあるが、シフトアップして欲しい時に低いギアをキープする癖がやや強かった。


期待できる次の100年


冒頭で触れたシトロエンのアバンギャルドな100年の歴史を構成する要素のうち、内外装のデザインについてはC4カクタスから始まった新世代デザインが新たな地平を切り拓いた。そしてもうひとつの大きな要素であるハイドロニューマチックが実現した独特な乗り心地についても、PHCで新たな一歩を踏み出したことは間違いない。Citroën Advanced Comfortプログラムという錦の御旗を立てたシトロエン、次の一手はいったい何を見せてくれるのだろうか。


シトロエン C5 エアクロス SUV SHINE BlueHDi ナッパレザーパッケージ
ボディサイズ:4500×1850×1710 mm
車両重量:1640kg
エンジン型式:直列4気筒DOHC
排気量:1997cc
最高出力:130kW (177ps) /3750rpm
最大トルク:400Nm (40.8kgm) / 2000rpm
変速機:8段AT
本体価格:468万5000円
試乗車価格:502万6550円
(オプション装備品 メタリックペイント 6万500円、ナビゲーションシステム 23万6500円、ETC 2.0 4万4550円)


フロント&バックソナー
乗車定員 バックカメラ
車両重量 アクティブセーフティブレーキ


文・写真:馬弓 良輔  Words & Photography: Yoshisuke MAYUMI

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