タチアナ・カルデロン選手のスーパーフォーミュラへの挑戦、はじまる

ThreeBond Drago CORSE



ところがロックダウン下のなか、自宅で過ごした3カ月はかつてないほど自由で腰を落ち着けて過ごせたそうだ。バイクやウエイト器機、レーシングシミュレータ、反射神経を養う機材を導入し、ホームジムのようになったという自宅で毎日トレーニングに集中。シミュレーターでは開幕戦に備えてコースを覚えていたという。F2マシンよりも平均速度が速いSFは横Gも高くかかるためより首を強化、さらに反射神経を訓練する必要もある。

さらに「これまで勉強しようとも思わなかったので“感謝している”」と言うのが料理。家で健康的な食事をとることに時間や考えを割くことがなかったため、今回はそういう時間が持てたことで体力や筋力のために良いであろうと思うものを作ったという。メニューを聞くと「ブロッコリーなどを使ったヘルシーピザは意外と美味しい、でもおすすめはパンケーキ」とはにかみながら言い足したとき、同性ながらちょっと“キュン”ときてしまった。ストイックで実直、しかし物腰には柔らかさも持ち合わせるタチアナ・カルデロンの魅力は語りきれない。

「とにかく日本に来られたこと、日本でこれまでと違うハイレベルで難しいレースを違うカルチャーのなかでできることが嬉しい」と言う。早速ファンが横断幕をつくって応援、歓迎してくれたことにも感謝していた。初戦を振り返り「私のレース経験のなかで最も気温も高く過酷なレースだった。しかし体力面、精神面で克服できたことは大きな自信に繋がる」とタチアナ。





日本でのレースはあと5戦。彼女にテスト走行のチャンスはいまのところない、ぶっつけ本番だ。「厳しいけれど毎戦を大切に、走るごとに学び、技術的にも精神的にもインプルーブしていきたい。前に進んでいきたい」と極めて前向きだ。彼女の表情や口調からは楽しみでしかない、と言わんばかりの様子だった。

「完走すら難しいのではないか」という声もささやかれたタチアナのSF参戦。初戦後半の猛闘ぶりがポジティブなアピールとなったのは間違いない。男女関係なく向けられるルーキー初戦への厳しい“目”。そんな洗礼をクリアし、多くの目はいま彼女の走りに対し期待や興味に向いているのは間違いない。



次戦は9/26@岡山国際サーキットで開催される。「No more CORONA!」と言い放ったタチアナは今、withコロナのなかで新たなチャレンジに挑んでいる。彼女の前進する姿をこれから先も見続けていきたいと、まだシリーズも始まったばかりながら思うのだった。



文:飯田裕子 Words: Yuko IIDA

文:飯田裕子 Words: Yuko IIDA

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