ロウレンス・ポメロイの「ザ・グランプリカー」|AUTOMOBILIA 第3回

ザ・グランプリカー



今回の肴
□ロウレンス・ポメロイ著「ザ・グランプリカー」1949年5月初版。発行はモータープレスである。ザ・グランプリカー初版の特徴を3点ほど。まず単巻であること。そして、補足が付録の小冊子にまとめられていること。更に、L.C.クレスウェルによる構造画の下絵が収録されていること、である。ザ・グランプリカーの最大の魅力は、クレスウェルによる精細な構造画なのだが、初版には下絵が12枚ほど収められており、紳士のための上質な絵本のような仕上りになっている。

□ロウレンス・ポメロイ著「ザ・グランプリカー」第二版以降。ザ・グランプリカーが単巻なのは初版だけで、以後は2巻ものである。手許にあるのは第一巻が1964年の第四版。発行所はテンプルプレス。まだ本流と称していた嶋田洋書が輸入したものらしく、同店のシールの横に4200円と鉛筆で記してある。第二巻は1960年6月に発行された第三版。こちらの発行所は初版同様モータープレス。こちらも輸入したのは当時の嶋田洋書のようで、価格は5200円とある。

□ 2分冊になって以降のザ・グランプリカーも実は曲者である。第一巻と第二巻のマッチングが単純ではないらしい。第一巻は二版から始まりそれが1956年、第三版が1959年、そして第四版が1964年である。第二巻は初版の改訂版から始まりそれが1954年、その後1956年と1960年に版が改められている。これらの版違いを全て揃えればよいのだろうが、さすがに、そうした情熱はとうに失せてしまった。

□グランプリカーに関する書籍で有名どころのひとつはL.J.K.セットライトによる、1954年から1966年のグランプリカーをとりあげたもの。初版は1968年である。こちらは神保町の古本屋等でも頻繁に見かけることができた。写真が多く、質実剛健な印象の一冊で、ぼんやりと眺める対象としては、やや魅力に乏しいかもしれない。




□ロウレンス・ポメロイは若きエンジニアに向けた入門書も著している。1963年にテンプルプレスから発行された小さめの版の一冊で、内容はかなり教科書的である。これもたまたま日本でみつけたもの。

文、写真:板谷熊太郎 Words and Photos:Kumataro ITAYA

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