コレクター垂涎のフェラーリとポルシェの「ミニカー」|AUTOMOBILIA 第4回

Photos:Kumataro ITAYA



今回の肴
モデルカーはミニカーとスケールカーに分けるほかに、出自による区分も可能である。それは市販品と非売品、という分け方。市販品にも特注品などがあるように、非売品もさまざまである。企業がノベルティとして配布したものや、重要な機会の出席者に渡されたお土産などなど。

今回の肴は、ポルシェとフェラーリによる記念品である。

□まずはポルシェから。
このモデルの詳細は不明ながら、ポルシェデザインと時計メーカーのIWCのダブルネームである。裏蓋にはフェリー・ポルシェのサインまで刻み込まれている。おそらく、ポルシェデザインがIWCと提携した機会に配られた記念品ではないかと思われる。



以下にその論拠を示す。

モデルとして選ばれたのは1977年の911。ポルシェデザインによるIWCの商品が初めて世に出たのは1978年のこと。すなわち、1977年はポルシェデザインとIWCが業務契約を交わした年である。おそらくは、その業務提携を記念して、双方の関係者に配られた品である可能性が高い。クルマ好きにとって時計は重要なアイテムのひとつ。ポルシェデザイン×IWCでは、世界初のフルチタンボディによるクロノグラフが忘れられない。

話を記念品に戻そう。モデルは銀製で、立派な木箱に納められている。このようなつくり方は、欧州カーオブザイヤーにおいて、1位に選出されたクルマのメーカーが審査員に配布するスケールカーの文法に倣ったものである。欧州カーオブザイヤーでは、第一位を獲得したメーカーが、そのモデルを、無塗装かつアクションのない、カタチだけを再現したプロポーションモデルとして、銀または錫でつくることが習慣となっている。

□続いてフェラーリ。
こちらのモデルは、フェラーリが456を発表した際に500台ほどつくって、関係者に配布したものである。たしかに附属するカードには500台の限定である旨が記載されているものの、シリアルナンバーは打たれていない。イタリアというお国柄を考えると、場合によっては1000台かそれ以上がつくられているかもしれない。

モデル制作はBBRというメーカー。この456の後から、新たなモデルが世に出るたびに、BBRはそれらのモデルを制作し、市販している。

スケールカーの置かれている台は、これも定法通り、スケドーニ社製である。日本で456がお披露目された際の記念品は、スケドーニによる台に、456の原寸大のシフト部分が移植されたものだった。

文、写真:板谷熊太郎 Words and Photos:Kumataro ITAYA

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