無敵を誇った「ランチア・ストラトス」という伝説|1977年モンテカルロ・ラリーのクルー全員の再会

1977年ランチア・ストラトスHF(Photography:Matthew Howell)

1977年モンテカルロ・ラリーでのサンドロ・ムナーリとランチア・ストラトスは真に無敵だった。40年を経た今、私たちは本当の伝説というものを目の当たりにした。

編集翻訳:高平高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Massimo Delbo and Angus Frazer Photography:Matthew Howell Archive images:McKlein


最初に「音」が届いた。機械音というより、まるで獣の咆哮のような音がイタリアののどかな風景の中に響き渡った、そして1977年モンテカルロ・ラリーを制したランチア・ストラトスHFが姿を現した。あれから40年たった今でも、その圧倒的な存在感は少しも失われていない。現代の目から見ても、ウェッジシェイプのボディは未来的だ。フォード・エスコートやヴォクスホール・シェベットであふれた世界に、この太陽系の中でもっとも並外れた自動車が当時どんな衝撃を与えたのか、それを正確に想像するのは難しい。さらに想像しにくいことだが、すでに1977年当時、ストラトスはいわば時代遅れになりつつあった。何しろプロトタイプがトリノショーで発表されたのは1971年のこと。その後1974年から1976年までランチアに世界ラリー選手権3連覇をもたらしていたのである。

世界一有名なストラトス
ストラトスは速度を落としながら近づいてきた。緑/白/赤のいわゆるアリタリア・カラーに包まれたベルトーネによるスタイリングは実に威風堂々としており、ほとんど傲慢と言ってもいいほどのプライドを主張している。目の前に停まるかと思った瞬間、フェラーリ・ディーノ用V6エンジンの咆哮を上げて、ストラトスは私たちを見下したように走り去った。それはまるで気難しいサラブレッドが撫でようとした手を振り払って走り去るかかのように見えた。リアスポイラーと巨大な丸いテールライト、いかにも70年代風のルーバーが付いたリアウィンドウを呆然と見送っていると、私たちの横に立つサンドロ・ムナーリは微笑んでいることに気づいた。おそらく彼は1977年1月22日から28日の出来事を思い出していたのではないだろうか。その後姿は、フレンチ・アルプスでかつてライバルたちが追いかけ、そして追いつけなかったそのものなのである。

「このストラトスは特別だ」と長身のイタリア人は口を開いた。「オーナーのグイド・アヴァンデーロとは友人なので、今も時々この車に乗る機会はあるが、これは単なる車ではない。素晴らしい記憶を呼び戻す魔法のようなものだ」

1977年モンテカルロ・ラリーのスタートに臨んだ時、ムナーリはすでに3度モンテで勝利を挙げていた。もちろん1972年の初勝利は格別だったはずである。非力な前輪駆動のランチア・フルヴィア1.6クーペHFに乗って、当時無敵を誇った恐ろしく敏捷なリアエンジンのアルピーヌ・ルノーA110を打ち破ったからだけではない。

「その頃フルヴィアはデビューからもう7年経っており、売れ行きは芳しくなかった。そこで1971年の末にフィアットはフルヴィアの生産中止を決め、6500人の従業員はレイオフされることになった」とムナーリは説明した。「ところが私がモンテカルロで優勝したとたんに、ディーラーに人々が詰めかけ、先を争ってフルヴィアを注文した。そのために生産ラインは再び稼働することになり、皆仕事に戻ることができたんだ」

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