BMW CSL バットモービル vs ポルシェ911 カレラ 2.7 RS│ホモロゲ仕様の対決!

Photography:Paul Harmer



911カレラRSのエンジンは、ボア径を84㎜から90㎜に広げたことで、排気量を2687㏄に拡大した。ボアの拡大は、アルミニウム製シリンダーの内壁にニッケルシリコン合金(ニカシルまたはニカジル)をコーティングし、スティール製ライナーを省略できたことで実現した。

190bhp/6500rpmであった911Sのパワーは、
210bhp/6300rpmに増強された(ターボ時代全盛期の前でも、フルレース仕様のRSRは330bhpであった) 。
 
CSLでは軽量化が最重要課題であり、すべての快適装備が排除された。一方、RSには初
期の段階から装備やスペックが違う派生型が存在した。
○RSスポーツまたは" ライトウェイト"、コードM471
○RSLまたは"ツーリング"、コードM472
○フルレーシングスペックのRSR、コードM491

今回、私たちが取材したのは、カレラRSオーナーズクラブ&レジストリーの代表者であるウィルフリード・ホルゼンタールがドイツから持ち込んだものだ。非常に魅力のあるライトウェイトM471(シャシーナンバー:911 3600573)である。カレラRSとして生産された合計1580台(M472ツーリング含む)のなかで、僅か200台のみが生産されたライトウェイトのうちの1台である。

ライトウェイトのボディパネル、ライトウェイトのグラバーベル社のガラス、ライトウェイト・バンパー、FRP製のリア・ダックテールといった装備に加え、シンプルなインテリアからは助手席側のサンバイザーすら取り払われていた。



RSはワイドタイヤが装備された初めての911
であった。リアは8×15、フロントは7×15サイズで、それぞれリアに215、フロントに185のセクションのタイヤを履いた。ポルシェの風洞実験では、フロントの深いエアダムとリアのダックテールを組み合わせたことによる最高速度の増加は4.5㎞/hに留まるが、リフトは大幅に減少して高速でのナーバスな挙動が効果的に緩和された。

1972年11月3日に開催されたツール・ド・コルスでの敗退の後、ポルシェはポール・リカールでテストを始め、ジェラルド・ラルースとマーク・ダナヒューが、ポルシェでラップタイム2分10秒を出したとき、BMW CSLは2分11秒より縮められなかった。この時、ファーマンはプロダクションカークラスに対して、「まず、我々は(BMWの)ニアパッシュにフォードに勝たせ、その後に両方を下す」と語ったという。

1973年の24時間デイトナレースでは、ポルシ
ェはスポーツカークラスでの参戦を強いられたが、ピーター・グレッグとハーレー・ヘイウッドのポルシェ911RSRは、フェラーリ・デイトナを下して22周の大差を付けて優勝を果たした。

正にダビデがゴリアーテを打ち負かしたのだ。スパでは、5 月のツーリングカー選手権でBMWアルピナのニキ・ラウダが優勝した。彼はその後1000㎞レースにも参加し、ポルシェは5位、ラウダBMWは7位であった。同年のル・マンでは、ポルシェRSRはクラス4位(総合10位)と、BMWより1位上でフィニッシュした。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:東屋 彦丸 Translation:Hicomaru AZUMAYA Words:Robert Coucher 

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