8台のポルシェ911とともにその半世紀におよぶ歴史を振り返る旅

Photography:Andy Morgan


 
今回のテストを通じて私たちが再確認したのは、911に共通する最大の魅力は車との一体感であり、ある種の透明性であり、車の隅々までドライバーの神経が行き届く点にあると思う。もしも必要以上にメカニカル・グリップ、エンジンパワー、洗練さ、そしてスタビリティを追求していたら、この絶妙なバランスは崩れていたことだろう。限界領域の話をことさら強調するつもりはないが、いまはスタビリティコントロールがあるので、限界域の挙動を穏やかにするのは簡単だ。けれども、これを前提にシャシーを仕立てるのであれば、911の希有な個性は霧消してしまうことだろう。


 
911には911の完成された世界があり、もはやハンドリングだけからリアエンジンであるかミドシップであるかを見分けるのは不可能である。これは自動車技術の勝利というべきものだが、「911はリアエンジンであることを実感させてくれるスポーツカーであって欲しい」と願う人々は、そのことに一抹の寂しさを感じることだろう。望むらくは、ポルシェが私たちの願いを聞き入れ、"ロング・エンド" ならではのフィーリングをもう少しだけ強調して欲しいものである。

編集翻訳:大谷 達也  Transcreation: Tatsuya OTANI Words:John Simister 

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