周りと差をつけたい人におすすめ!│個性的溢れるクラシックランチア

Photography: CARZY(Yoshimi YUKIO)

少し変わった、クラシックランチアをご紹介。

ランチア・アッピアは、ファーストシリーズが1953年のトリノ・ショーにてデビューし、50年代のランチアを代表する小型サルーンとなった。アッピアという名は、「街道の女王」として名高い紀元前312年に建設されたローマン街道“ヴィア・アッピア”に由来する。エンジニアリングは、ヴィットリオ・ヤーノが担当した

わずか10度14分という狭角V4エンジンを搭載し、スタンダードモデルのベルリーナ(セダン)のほかに、カロッツェリアによって様々な派生モデルが生産された。ピニンファリーナのクーペスタイル、ヴィニャーレのコンバーチブルスタイルなどが有名だ。しかし、最もスタイリッシュで個性的なモデルといえば、パッソ・ルンゴ(LWB)となったアッピア シリーズ2をベースに生産されたこのアッピアGTEザガートであろう。



アッピアGTEは1958年11月のトリノ・ショーにて初披露され、翌年早々にはデリバリーが始まった。それまでも、ザガートはランチアをベースにスペシャルモデルを造った実績があったが、このアッピアGTEはランチアのカタログに掲載され、ランチアのディーラーで販売された初めてのザガートモデルとなったのだ。

ヘッドライトがプレクシグラスで覆われているのが初期モデルの特徴で、59年秋には法改正に適合させるためオープンヘッドライトに変更されている。また、1960年にはそれまで53馬力だったV4エンジンが60馬力へとパワーアップを果たしている。

総生産台数は200台のみだったこともあり、日本国内ではめったに見ることがないが、現在国内で販売されている一台の初期型アッピアGTEザガートがある。数年前にレストアを受けており、赤いボディにペイントされました(白いストライプは現オーナーによるテープ加工)。



コンディションはとても良好で維持されており、なかでも機関系は長距離系のラリーイベントをこなせるまでに調整されている。ステアリングホイールやザガートシートは貴重なオリジナル品だ。細かな傷やヒビ割れが散見されるものの、それもまた数々のイベントを走り抜いてきた証といえるだろう。FIAペーパーも現在、所有者変更申請中となっている。



フロント周りのファニーな顔立ちや、スレンダーで伸びやかなサイドシーン、特徴的なピラーとフェンダーアーチ、そしてちょっとベティ風味のテールランプまわりなど、ディテールからフォルムまでそのデザインには見飽きるということがない。白いラインが入ったことで、サガートによる大胆かつ繊細なデザインがいっそう強調されているようにも感じられる。

このような、ガレーヂに仕舞い込みたくなるようなデザインの車こそ、乗って楽しんでいただきたい。


車両情報提供:CARZY  (文:西川淳 写真:吉見 幸夫)

オクタン日本版編集部

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