BMW歴代のデザイナーたちが描いた貴重なスケッチ19枚

すべてはスケッチから始まる(Photography:Daniel Kraus)



BMW3シリーズ E21:1975〜81年、E30:1981〜90年
その後もBMWは社内のデザイン体制を強化していったが、社外の協力者を探し出すことも忘れなかった。たとえば、コードネームE21と呼ばれる最初の3シリーズについては、ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインもフルサイズのプロポーザルを製作している。「イタルデザインの提案に関しては、いまも白黒写真が多数残されていますが、結果的には採用されませんでした。残念ながら、あまりダイナミックなデザインとはいえません。ただし、フロントエンドの造形は後に登場した7シリーズに似ています」

実際にE21のデザインとして選ばれたのは、フランス出身の社内デザイナーであるポール・ブラックの作品だった。これは時代にあわせて1970年代の2002を再解釈したものといえる。その初期のプロポーザルであるスケッチ [10]は「キャンソン・ペーパーにカラーのチャコールやマーカーで描かれています」とファン・ホーイドンクが教えてくれた。

E30はE21の正常進化版で、ここでもジウジアーロはコンペに参加している。もうひとつのプロポーザルを作成したのは、ザガート出身の社内デザイナーであるエルコール・スパーダだった。スパーダはその後、E32(7シリーズ)やE34(5シリーズ)のとりまとめ役を務めた。ファン・ホーイドンクは、彼が描いたE30のレンダリング(スケッチ [11])を「より派手な作品」と評する。「なにしろ、ひと目を惹く赤いボディに、イソやアルファ・モントリオールに似た"上下逆さまのまぶた"ですからね。

いまでは社内のデザイン・コンペがたくさん行われています。ボディ・サイドを描いたツーリングはゴルフが登場した頃のもので、ご覧のとおりハッチバック・モデルです」この3ドア(スケッチ [12])は、E9クーペをデザインしたマンフレート・レネンの作品だが、その後3シリーズ・ツーリングとして登場する5ドア・エステートよりもずっと生きのいいデザインだ。





編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Richard Bremner Photography:Daniel Kraus

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