BMW歴代のデザイナーたちが描いた貴重なスケッチ19枚

すべてはスケッチから始まる(Photography:Daniel Kraus)



BMW i8 コンセプト
「これもターニングポイントのひとつになった作品です」斬新なプラグイン・ハイブリッドスポーツカーとして誕生したi8にもファン・ホーイドンクは深く関わった。

「クリス・バングルの後を引き継いだ私が最初に手がけたショーカーがi8でした。私はプロジェクトメンバーにこう告げました。『革新的でエキサイティングな作品を作り出せ。ただし、私たちのビジネスの基本である顧客を失うことがないように気をつけて欲しい』と。このとき、すでにi3の作業は始まっていました。2009年のフランクフルトショーでは誰もがEVを話題にすると予想していました。もっとも、彼らがどの程度まで真剣かはわかりません。私たちは真剣そのものでしたが…」

「BMWの本質はスポーティ・ドライビングにあります。そこで、もしも人々が現実的と思う姿でその未来を創造できれば、それはBMWにとって好ましいことだと考えました。このショーカー、ビジョン・エフィシエント・ダイナミクスはそうした思想から生まれました。"i"ブランドが誕生したのはその後のことです」

「この形状はとても冒険的で、空中に浮いているように見える造形はモデリングするだけでもひと苦労でした。結局、クレイで作ることはできず、最初のモデルはワイヤと発泡剤を使って製作しました。しかも作業は非常に短期間で行わなければいけません。したがってプレスデイ初日に多くの方々から『気に入った』と言ってもらって、私たちはようやくひと息つくことができました」

スケッチ [19]はクロアチア出身のマリオ・マジャンジックが描いたものだ。

「たくさんのコンペを勝ち抜いて選ばれた作品です。これに先立ち、マリオはシンガポールに新設されたスタジオで新しいエコカー向けの新しいデザイン言語開発に取り組んでいましたが、それが役に立ったようです。クリーンで明るくてプレミアム、しかも思わずほしくなるような車。そうした考え方が、この作品では見事に結実しています」




編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Richard Bremner Photography:Daniel Kraus

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